とあるドMは神を喰らう - deer

お姉ちゃんはいつも大変

今日のアリサとの話を雨宮教官に報告する。そうか、お前の友が増えたか。はい、これで三人目です。友は大切にしろ。承知いたしました。私とアリサの間に起きたのは新型同士が触れ合うことで稀に起こる感応現象というものらしい。仕組みはよく分からないが、そのおかげで友人が増えたのだからありがたい能力である。

「色々と苦労をかけてすまないな」

「いえ、苦労だとは一切感じておりませんので」

「そうか。ああ、言い忘れていたんだがな、その服、似合っているぞ」

ありがとうございます。雨宮隊長が選んでくださいました。リンドウから聞いている。娘が出来たと聞いた時は頭を抱えたが、思い違いだったようでな。パパは自分より私の結婚について考えているようでした。何だそれは。雨宮教官が怪訝そうな顔をする。まずは自分の心配をしろあの馬鹿者が。全くその通りである。
結婚相手を殴ると言われました。あいつらしいな。そう言って呆れたように溜め息を吐く雨宮教官はどこか嬉しそうだった。

「私はパパと約束をしたのです」

「約束?」

「死なない、と指切りまで。ですので、私はパパを信じております」

「...そうか」

「一万回殴り、針を千本飲ませ、指を切り落とすのは流石に骨が折れますので」

「殴る時は言え。協力してやろう」

「では、その時はよろしくお願いいたします」

パパが約束を破った時は雨宮教官にもご協力いただこう。これは百人力である。どんどん顔を腫らしていくパパを想像出来るのが悲しいところであるが、自分の姉上に殴られるとあれば、死んでも生きて帰るだろう。

「私などでは務まらないかもしれませんが、それでも雨宮教官が歩み易い道を切り拓く覚悟ですので、これからもよろしくお願いいたします」

「新人ごときが何を言っている!まずは自分の怪我を減らせ馬鹿者が!」

「申し訳ありません」

怪我は趣味です!でも多く怪我をすると色々な人に心配され、怒られてしまうので、かなり我慢しています!これはこれで美味しいプレイだと思っています!なんて言えたら楽なのだが、もちろん私の口はそんな言葉を吐き出すことはない。
だが、頭を下げた私に、その気持ちは受け取っておこう、と言って去って行った雨宮教官の周りの空気は少し柔らかくなったように感じたのだった。

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