とあるドMは神を喰らう - deer

しつこいのは友だちん家の味付けだけでいい

廃寺での任務はコウタとソーマと橘副隊長の4人でグボロ・グボロとシユウを討伐するという内容だった。私がいる以上それだけで終わるはずはないので気は抜けない。そう思いながらプリンの作り方についてコウタと話していると、集合地点にソーマがやって来た。

「なあ、こいつのリーダー就任祝いやらねえ?」

「...断る」

「鍋でもしようと思うんだがソーマも来ないか?」

正直祝いなんていうものは建前であり、またみんなでご飯を食べたいだけなのだが、ソーマの機嫌はあまり良くないようで、友だちごっこなら勝手にやってろと言って出撃してしまった。
バーカ!!そんなソーマに怒るコウタ。ソーマにだって機嫌が悪い日くらいあるだろう。そう言ってコウタをなだめながらソーマの後を追う。

「ここは私が片づける。コウタは先にグボロ・グボロを頼む」

「了解!」

イレギュラーなアラガミはコンゴウで、耳がいいコンゴウを放って置いては厄介なので先に片づけることにした。グボロ・グボロは銃だけでも平気だが、動きが速いコンゴウは私が相手をした方がいいだろう。
殴りかかられた時にタワーシールド展開したが、勢いを殺しきれず壁に身体をぶつける。一瞬息が止まるほどの衝撃だったが、ここで止まっては死にかねないので、ブラストに切り替えて火のバレットを叩き込んだ。
以前まで使っていた発熱ナイフもクアドリガの突進で壊れてしまったようで、持ち替えた聖獣刀でコンゴウを斬り刻む。ジャンプして勢いを殺さないままに聖獣刀を突き立てると、何かに縋るように手を伸ばしたコンゴウが絶命した。
コウタと合流しようと通信機に手を伸ばしたが、相変わらずノイズしか流れないそれを大人しくポーチに戻す。索敵しながら探すしかないかと歩き出せば、捕喰のために逃げてきたのか、背ビレの抉れたグボロ・グボロが降って来た。

「エン!大丈夫か!」

「問題ない。援護は頼んだぞ」

「おう!任せとけ!」

砲台を叩き折り、怯んだ隙に捕喰する。後は頼むとコウタにアラガミバレットを渡せば、見事にそれが当たり、グボロ・グボロが沈黙した。
コクーンメイデンが出たことにしてコウタに橘副隊長と連絡を取らせる。どうやらシユウは片づいたようで、先に合流地点へ戻っているようだ。だが、索敵に出たままソーマと連絡がつかないと言うので、コウタと二人で探しに行くことにした。

「ソーマ最近雰囲気柔らかくなったと思ってたんだけどなー」

「腹が痛いのかもしれないぞ?そういう時は気が立ってしまうのも仕方ないさ」

「変なものでも食ったのかな?」

「配給品の質が落ちているようだからな。食べたレーションが古かったのかもしれない」

今度から時間が合う時は夜ご飯に誘ってみるか。レーションばかりでは身体に良くない。それに隊長としての仕事が多く、未だに肉じゃがを作ることが出来ていないのだ。

「飯が不味いと気分も悪くなるもんな」

「ああ、だからきっとソーマも悪気があったわけじゃないさ」

また誘おうと決めた時、廃寺の中にいるソーマを見つけた。こんなところにいたのかよ。少し呆れたようなコウタが近寄れば、ソーマがバスターブレードを向けてきた。

「何かいたのか?」

「いや、何でもない」

「何でもないなら神機向けるなよ!危ねえだろ!」

そんなコウタに舌打ちをするソーマに益々怒りだす。こうして喧嘩をしているのだから仲が悪いというわけではないだろう。あまり気にすることもないかと見ていると、背中を預けられないような仲間はいらないと突き放されてしまった。
先に帰るからな!!怒鳴るように廃寺を後にしたコウタを見送ってソーマを見る。お前も俺みたいな化け物には関わるな。どうやら私まで遠ざけようとしているようだ。

「そんなにお腹の調子が悪いのか?」

「...何言ってんだ」

「機嫌が悪いようだからな。コウタとその原因を考えてみたんだが、レーションが古かったのではないかという結論になったんだ」

「違う」

「それは良かった。腹痛は辛いからな」

「もういい、俺には関わるな」

「それは無理な相談だな。私もコウタもしつこいぞ。コウタとソーマは友人で、私とソーマは仲間だ」

ソーマがどれだけ遠ざけようとしてもそう簡単に離れてなんかやらない。どれだけ手を払われてもその頭を撫でてやろう。そう心に決めてソーマの頭に手を伸ばせば、強く打ち付けた背中に痛みが走った。
それが顔に出ることはないが、どうしてなのかソーマにバレてしまったようで、また怪我しやがってと睨まれてしまった。

「ソーマだって私の心配ばかりしているじゃないか。そんな優しいやつが大切でないわけないだろう?」

帰ろう、コウタも待ってるさ。空いているソーマの手を引いて歩き出す。こうして黙ってついてくるのだから、さっきの発言は本心なんかじゃないのだろう。また誰かに酷いことを言われてしまったのかもしれない。自分といれば私たちまで悪く言われると思ったのかもしれない。
本当に不器用で優しいやつだな。私より随分暖かい手を引きながら、合流地点へ戻れば、遅えよ!とどこか拗ねた顔をしたコウタと苦笑いしている橘副隊長が出迎えてくれたのだった。

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