とあるドMは神を喰らう - deer

温めますかは愛の言葉

「最近廃寺での任務が増えている気がするな」

「雪合戦でもしろってことか?」

「馬鹿なんですか?」

任務が始まる前にコウタとアリサとそんな話をする。案外アラガミも雪合戦が好きなのかもしれないぞ。シユウが雪玉投げるんですか?...何かシュールだな、それ。身体が冷えやすい方なので廃寺はあまり好きではない。そういうプレイだと思って楽しむ時もあるが、霜焼けは水仕事の大敵なのだ。
昔はここもアラガミがいなかったのだと橘副隊長が言っていたのを思い出した。アラガミがいない世界とはどんなものだったのか。私には想像も出来なかった。

「かき氷にアイスクリーム?」

「もう雪にシロップかければいいんじゃね?」

「うわ、何ですかそれ。身体に悪そう...」

私たちがそんな話をしていると、うなされていたソーマが目を覚ました。近くにいたアリサが驚いていたが、大丈夫かと尋ねたコウタにはいつも通りの返事をしていた。

「ソーマ」

フードで隠した顔を覗き込めば手を握られる。冷えな。冷え性なんだ。温めるように摩られたが、冷たいままの指に上着を脱いで頭に被せされる。

「着てろ」

「ソーマが寒いだろう?」

「そんなに冷えてるやつに言われたくねえよ」

私が上着を返そうとする前に飛び降りて行ってしまった。

「ソーマってエンのこと大好きですよね」

「あれはそうだな。飯食わせてもらってからだな」

「胃袋掴まれたんですね...」

二人がそんな話をしている間に上着に袖を通す。チャックまで閉めてしまっては戦いにくいので前は開けたままにした。

「私たちも行こう」

ソーマの後を追って飛び降りる。早く終わったら雪合戦しようぜ!緊張感とかないんですか?コウタの誘いは冷たくあしらわれていた。間をとって雪だるまを作るか。どことどこの間をとったらそうなるんですか?雪合戦とシロップの間だろ?ああ、一番平和だと思うんだが。そんなコウタと私にアリサが大きな溜息を吐いた。

「溜息吐くと一緒に幸せも逃げていくんだぜ?」

「それは大変だな。溜息の数だけのアリサの幸せを連れ戻しに行かなくては」

「もう!!緊張感持ってください!行きますよ!」

いつまでもそんな会話をしているととうとう怒られてしまった。すまない。ごめん。二人で謝りながら索敵をする。うるさい。案外近くにいたソーマにまでそう言われてしまったのだった。

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