とあるドMは神を喰らう - deer

大体全部元をたどれば同じもの

「これはアラガミだよ」

榊博士の爆弾発言に慄く第一部隊の面々。私は一人屈んで人の形をしたアラガミと遊んでいた。ハラヘッタナ!腹が減ったのか?イタダキマス!どこで覚えたのか、知っている単語を口にしているだけのようだった。
エン。エン?そうだ。エン!試しに名前を言えば直ぐに覚えたようで私を指差しては繰り返し名前を呼んでいた。手。テ!腕。ウデ!足。アシ!身体を触らせながら教えれば、私の身体を何度も触りながらそれを覚えていく。
覚えるのが早いな。イタダキマス?違うぞ、偉いだ。エライ!はしゃぐように上げた手が顔に当たる。すっかり忘れていたが、傷口を直撃したそれで強い痛みが走った。

「ふざけるな!」

黙って榊博士の説明を聞いていたソーマに腕を引かれて立ち上がる。どうしたんだ?医務室行くぞ。もう少し遊んでいたかったのだが、抱きかかえられるようにして部屋を連れ出されてしまった。

「大丈夫か?」

「もちろんだ。大した怪我じゃないからな」

手当ての終わった顔に貼られた真新しいガーゼをそっと触るソーマにそう返す。顔に傷作って大したことないわけねえだろ。何を言っても説教にしかならないらしい。心配かけたな。当たり前だ馬鹿。顔の怪我には敏感すぎる気がする。

「なあソーマ、そんなに邪見にしなくてもいいんじゃないか?」

「お前までそんなこと言うのかよ」

「私はあのアラガミと遊んで楽しかっただけさ」

ああいうアラガミが増えたら共存というのも可能になるのかもしれない。どういう原理なのかは全く分からないが、倒すだけがアラガミとの在り方ではない気がするのだ。

「化け物は化け物だ」

「そうか?一つの枠だけで捉えるには難しいと思うんだが」

だが、嫌がるソーマを無理強いするわけにはいかない。大人しく一人で遊びに行こうと立ち上がる。どこに行くつもりだ。研究室に決まっているだろう?腕を掴んで私を止めているソーマが舌打ちをする。
ソーマはゆっくりしているといい。ご飯までには戻ると言ってソーマの手を解く。フードで顔を隠したので表情を見ることは出来なかったが、拗ねているのかもしれない。肉じゃがを作れば機嫌を直してくれるだろうか。そんなことを考えながら榊博士の研究室へ向かったのだった。

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