とあるドMは神を喰らう - deer

可愛い犬には尻尾を振られよ

あの少女のようなアラガミと遊んでいる内にすっかり眠ってしまったようで、髪を梳かれる感覚に目を開ける。起きたか。そんな声が降ってきて上を見れば、ソーマが私の髪を指で掬っていた。

「楽しそうだな」

「光で色が変わるからな」

白い髪はこの部屋の明かりでは金色に見えるらしい。反射が屈折が、ソーマの説明は全く分からなかったが、楽しんでいるようだからそれでいいのだろう。まだ眠っている同じ白を見つめる。小さな寝息を立てる姿は到底アラガミには見えなかった。

「名前」

「ん?」

「つけねえのか」

「意外だな。ソーマからそんなことを言ってくれるとは」

「うるせえ」

そっぽを向いてしまったソーマに拗ねるなと言えば、無言で睨まれてしまった。可愛いやつめ。黙れ。中々強烈なデコピンをされておでこを抑える。痛い。痛くしたからな。前も同じような会話をした気がするのは気のせいだろうか。

「雪だるまというのは」

「却下だ」

そういえばお前は馬鹿だったな。忘れていたと溜息を吐くソーマ。溜息を吐くと幸せが逃げるらしいぞ。じゃあ追いかけてこい。網がいるな。やっぱり馬鹿だな。そんなことを話していると、うるさかったのか隣の少女が目を覚ましてしまった。

「イタダキマスダナ...」

「おはようだ」

「オハヨウ?」

「そう、おはよう」

まだ眠り足りないのか、オハヨウと言いながら目を閉じていく。それはおやすみだ。オハヨウ...もう私の声は聞こえていないようだった。

「沢山寝て、沢山食べたら大きく育つだろうな」

不思議な感触の髪のような部分を撫でていると、デカくなられても困るだろと呆れた声で言われる。私は大きくなって欲しいがな。お前はこいつの母親か何かか?案外そういうものに近いのかもしれない。

「雪が駄目となると、白いもの...雲に米に小麦粉...」

「シオ」

「塩か、確かに白いがそれならば砂糖でも」

「違う、シオ。仔犬って意味だ」

「塩は仔犬なのか。ソーマは物知りだな」

シオ、シオ、うん可愛いじゃないか。米よりはマシだろうな。イントネーションを変えればありじゃないか?無しだな。どうやら私にはセンスというものが無いようだ。これから名前をつける機会があれば、ソーマに頼もうと思う。

「起きたら沢山呼んでやろう。きっとシオも気に入るさ」

「...そうか」

その前に私たちはご飯にするか。いつもご飯を食べる時間はとうに過ぎてしまっているようだ。腹減った。直ぐに出来るものを作ろう。ああ、待ってる。そんな会話をしながら、シオをベッドに寝かせて部屋を出れば、まるで夫婦のような会話だねと榊博士に言われたのだった。

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