とあるドMは神を喰らう - deer

進路変更するときはウィンカーをちゃんと出せ

コウタにお守りを見せてもらった。妹の手作りだと嬉しそうな顔をするコウタは、そんな家族を守るためにエイジス計画が早く実現して欲しいと望んでいた。みんな守りたいものがあるのだろう。だが、それを守るには、同じ道を進み続けることは出来ないようだ。
私は私で、コウタはコウタだ。この先進む道を違えるかもしれない。それでも友であり続けたいと願うことは間違っているのだろうか。

「なあソーマ」

私の膝を枕にして眠るシオの頭を撫でながら口を開く。何だ。私には分からない本を読んでいるが、返事はしてくれるようだ。

「私は私の守りたいものを守るために進んでいきたい。だが、そうすれば必ず大切な者たちと道を違えてしまう気がする」

「それでも進むしかねえだろ」

「...どうしてこんなに難しいんだろうな」

「全てが同じ道を歩く方がおかしいだろ」

「そうだな」

私に出来ることは、それぞれの道にある障害物を一つでも多く取り除いておくことだろう。全てが違う道だとしても、私はその力になりたい。

「お前は一人じゃねえ。何でも抱え込んでねえで、少しは俺にも肩代わりさせとけ」

「ソーマはソーマの行きたい道を行けばいい。私はその道を少しでも歩きやすくしよう」

「俺はお前と同じ道を歩きたい」

「どうしたんだ?何かあったのか?」

私と同じ道を歩きたいとは随分酔狂なことを言う。酷い悪口でも言われたのかと心配したが、どうやらそうではないようだ。寂しがり屋だったのか。ああ、だからもっと構え。寂しがり屋だとは知らなかった。そう思っていると、シオを撫でているのと反対の手を握られる。

「最近やけに素直じゃないか?」

「気のせいだろ」

「そうか?」

「ああ」

どうしてだか、前より触れてくることが多くなったような気がする。スキンシップも好きだったのか。可愛いやつだなと言えば、もうそれでいいから黙ってろと言われる。よく分からないが、ソーマがさせたいようにさせてやろうと思う。

「未来なんてものは分からないが、私もソーマと同じ未来を見たいな」

「そうか」

繋いだ手から伝わる温かさが、この先も感じられることを祈るように手を頬に当てる。決して楽しいことだけではないであろう未来を想ってそっと目を閉じた。

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