とあるドMは神を喰らう - deer

世間では不倫というのかもしれない

「君の活躍は出張中にも耳にしていたよ」

「恐縮です」

シオとソーマの元を離れて一週間。とうとう支部長殿が極東支部へ戻って来た。先日シオがあの部屋を脱走したことで、特異点の反応が感知されてしまったらしく、こちらに戻って来たらしい。
どこまで私の悪あがきが通じるかは分からないが、出来る限りのことをするつもりだ。手始めにとこの一週間ひたすら単独で出撃し続けたことで実力を認められ、特務を言い渡された。
ウロヴォロスの単独討伐とは中々骨が折れそうだが、強化したばかりの四神刀朱雀があれば何とかなるだろう。ついでにブラストとタワーシールドも一段階強化出来たので、戦闘力の底上げは出来たはずだ。

「期待しているよ」

そう言う支部長殿に頭を下げて部屋を出る。特務の関係で呼ばれたのか、ソーマが壁に背を預けて立っていたが、今の私には話かける資格はないと思い通りすぎる。だが、それを許してもらえるわけもなく、腕を掴まれ、壁に押しつけられた。

「何か用か」

「何があった。何で急にいなくなった」

「その話は終わりだ。任務があるから離してくれ」

私の表情も声もいつもと一切変化はない。胸の奥は酷く痛んだが、それが表に出ないことを心から感謝した。ここで投げ出すわけにはいかないのだ。私はこうすることでしか仲間を守れない。先の短い私は、今出来ることをするしか道がないのだ。
顔を歪めるソーマを突き放して歩き出す。お前はそれでいいのかよ。それに返事をしないまま、エレベーターへ乗り込んだ。

「...大きいな」

平原で私を待っていたのは超弩級アラガミであるウロヴォロスだった。これだけ大きいと奇襲を仕掛ける意味もなさそうだ。正面から突っ込み足を斬る。踏み潰されたら死ぬな。冷静に動きを見極めてガードする必要がありそうだ。
触手を振り回す攻撃をガードして剣を叩き込む。着実にダメージは蓄積されているようだが、まだ半分も体力を削れていないだろう。踏み潰そうとする攻撃を避けてブラストに切り替えて弾を撃つ。あの複眼はダメージが大きいようだ。
何とか骨折だけで済ませた身体を引きずり歩けば、空からシユウが降って来る。特務すらこうなるか。今日も私は命を削るしかないようだ。

「五兵を開発した悪神などに不死鳥は負けない」

得意げに挑発をしてくるシユウの頭を一撃で叩き潰す。怒りで活性化したが、構うことなくその下半身を斬り刻んだ。おそらく支部長殿はパパと同じようにするつもりだろうが、そう簡単にやられてやるつもりはない。
精々てこずればいい。そんな気持ちを込めて、地に伏せたシユウを捕喰した。

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