とあるドMは神を喰らう - deer

女神を喰うならベッドの上がいい

久しぶりの第一部隊での任務は、プリティヴィ・マータ、あの事件の時に現れたヴァジュラ種のアラガミだった。前リーダーの腕輪の信号らしきものが確認されたということは、パパの仇である。
やっと仇がとれると言葉を詰まらせる橘副隊長にアリサが頷く。全てを知っている以上、私も片をつけなければならない。全力で倒さなければならない。そう決意していると、コウタにちょっといいか?と呼び出された。

「なあ、何があったんだ?」

「何がとは?」

「誤魔化すなって。最近明らかにおかしいじゃんか」

「すまない。特務を言い渡されてな」

コウタに全てを話すわけにはいかない。コウタにはコウタの守りたいものがある。それを邪魔することは出来ないのだ。

「ソーマもずっと機嫌悪いっていうか、落ち込んでるっていうか」

「派手に喧嘩をしてな。全て私が悪いんだ。もうソーマは許してくれないさ」

「...俺またみんなで飯食いたいのに」

「すまない」

私には謝ることしか出来ない。あの何も知らない頃に戻れたらどんなに幸せなのだろうか。そんなありえないことに想いを馳せながら歩き出す。私が今するべきことは、何も考えずプリティヴィ・マータを倒すことなのだ。
プリティヴィ・マータ。かつて地母神だった神だ。だが、それがどうしてこの氷のヴァジュラの名前になったのだろうか。広き者という意味を持つのは、その氷の攻撃範囲が広いからなのか。
だが、今の私には相性がいい相手だ。ダメージを受けやすい前足を斬り機動力を低下させる。ダウンしたところにありったけのバレットを撃ち込んで倒した。

「外れ、ですね」

プリティヴィ・マータを捕喰してもパパの腕輪は出て来なかった。悲しみを隠せない橘副隊長を慰めるアリサを一瞥して空を見上げる。私の命が尽きるまでに後何回この景色を見ることが出来るのだろうか。

「...帰投しよう」

重くなった心を隠しながら、アナグラへと帰投するのだった。

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