とあるドMは神を喰らう - deer

父と共に踊れ

ディアウス・ピター。そう名づけられたアラガミから雨宮リンドウの腕輪の信号が確認された。今回のターゲットがパパの仇と言って間違いはない。
天父と呼ばれた空を司る最高神の名を語るアラガミが、空に憧れる私のパパの仇が、私が倒さなければならない相手なのだ。皮肉なものだと思う。

「そう簡単に倒せると思うな」

雨宮教官にそう言われて改めて気を引き締める。あの雨宮リンドウを圧倒するような相手だ。油断すれば死に至るかもしれない。死んでいいのは私だけだ。仲間を誰も殺させなどしない。

「あの、エン」

「どうした?」

「私、みんなを守れるようになりますから!」

「大丈夫だ。アリサは強くなった。もう何者にも負けはしない」

「はい!」

アリサの頭を撫でて背中を押す。そうして一歩踏み出したアリサの背中はとても頼もしく見える。私たちは倒さなければならないのだ。ディアウス・ピターを、空の神を名乗るアラガミを。

「行くぞ」

ディアウス・ピターはヴァジュラより、動きがずっと速かった。間合いをとるのが難しく、時折仕掛けてくる突進を何とか防いでいた。馬鹿野郎!そんなソーマの声を聞きながら雷球を回転させるディアウス・ピターに突っ込む。
ジャンプで突進して雷球をくらわない位置に着地する。そうすれば、攻撃を繰り出すまでの間、無防備な状態の身体を斬り刻むことが出来る。

「危ないじゃないですか!」

「すまない」

怪我こそしてないが、かなり危険な戦い方をしたせいでアリサに怒られる。だが、少なくないダメージを与えることが出来たのだからプラマイゼロということにしてもらおう。
そんなことを思いながら顔を斬れば、痛かったのか、怒りで活性化した。気をつけろと声をかけながら神属性の弾丸を撃ち込む。だが、怒りが治らないのか、走り出した先にいたソーマが突進をくらって弾き飛ばされた。

「クソッ」

雷を帯びた突進で前が見えない状態のソーマにディアウス・ピターの追撃が迫る。頼む、間に合えと全速力で走りどうにかシールドを展開したが、攻撃の勢いを殺しきれず、ソーマを巻き込んで瓦礫に突っ込んでしまった。

「大丈夫!?」

橘副隊長が回復弾を撃ってくれたおかげで何とか立ち上がることができた。瓦礫でそこら中から血が出ていたが、今はそんなことを気にしている場合ではない。回復しておけ。ソーマに回復球を使ってまたディアウス・ピターに向かって走り出した。

「...ありました」

「これは、間違いなくあの人の...」

何とか倒したディアウス・ピターの体内から神機と腕輪が出てきた。それは間違いなく雨宮リンドウが使用していたもので、生存が絶望的になってしまった。
腕輪を抱えて涙を流す橘副隊長に何も言えない。それでもパパなら生きていると思うが、あまりにも根拠のないそれを橘副隊長に伝えることは出来なかった。

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