とあるドMは神を喰らう - deer

道は違えど歩けよ乙女

橘副隊長の部屋に呼ばれた。中にはアリサもいて、何やら二人で探っていたようだ。パパの腕輪を使って見ることの出来るようになったデータは、アーク計画という終末捕喰に関する計画、そして、エスポワール・エール実験。私に関する実験についてのものだった。

「...説明してもらえるかしら」

「今更嘘なんて吐かないでくださいよ」

橘副隊長とアリサにそう迫られて口を開く。本当は言いたくないんだが、一人で終わらせようとした実験について話した。

「私はゴッドイーターチルドレンという、生まれながらに体内に偏食因子を持った存在です。そのため、この身体には異常な回復力があります」

「...怪我の治りが早いのはそのせいなのね」

「はい。そして、この力を応用して、自動修復能力のある装甲壁を作ろうとしている支部長により、私は怪我をするように仕組まれてきました」

「まさか、突然現れたアラガミは全部...」

「全てと言い切れるかは分からないが、ほとんどは支部長が仕組んだものだな」

ある特定の場所にアラガミを集めるフェロモンがあるらしい。それを用いて私の任務にイレギュラーなアラガミをわざわざ連れて来ていたのだと榊博士が言っていた。

「でも、あなたが怪我して何の意味があるの?回復力を持っていることは分かっているんでしょう?」

「...この回復力には限度があります。それを知りたかったようで」

「限度?」

「ああ、私は出来損ないでな、怪我を治すのに命を削っているんだ」

生命力を媒介とし、異常な回復力をもたらすため、装甲壁に応用出来たところで限界がある。一定回数修復すれば、装甲壁は壊れてしまうのだ。
そのため、この偏食因子を大量に製造することを考えたのだが、元々体内にある偏食因子を他人に投与したところで適応は難しい。そこで、初めからこの偏食因子を持った人間を作ることが計画に上がった。

「私は遠くない内に拘束されます。そして子どもを産む道具にされる」

「ふざけないでください!!」

「エンのことを何だと思ってるのよ...!」

「...出来れば知られたくなかったな」

「馬鹿!!エンの馬鹿!!私を庇って怪我してエンの命を削ってたなんて、そんなの!」

「...本当に馬鹿ね。そんな辛いこと一人で抱え込んで、何してるのよ」

泣きながら抱きついてきたアリサに謝りながらその背中をさする。気づいてあげられなくてごめんね。橘副隊長も辛そうな顔をしながら抱きしめてくれた。

「私こそ、申し訳ございません。パパが何かを探っていることを知っていたんです。それで支部長に消されてしまうかもしれないことも。それなのに、何も出来なかった」

「あなたのせいじゃないわ。ありがとう。リンドウを想ってくれて」

ああ、この人は。本当に雨宮リンドウという男を愛しているのだと思った。こんなに素敵な女性に想われているのに死ぬなんて許さない。絶対に生きているのだと私だけでも信じてやる。

「...今日のことは忘れて」

アーク計画を忘れろという橘副隊長にアリサが不承不承頷いた。もちろんそんなことをするわけもなく、橘副隊長の部屋を出て話し合う。

「私は動けない。だから、橘副隊長を頼むアリサ」

「了解ですリーダー。絶対にこんな計画阻止しましょう」

一人でエイジス島へ侵入するつもりであろう橘副隊長のバックアップをする。アリサは後をついて行かせ、私は橘副隊長とアリサがいなくても不自然じゃないように休暇届を提出することにした。

「無理だけはしないでください」

「アリサもな」

そんな会話を交わしてアリサと別れる。こうして私たちはそれぞれの道へと足を踏み出すのだった。

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