とあるドMは神を喰らう - deer

短くするのはスカートだけで十分だ

随分と長い間眠っていたらしい。一月寝たきりだとこうも身体が動かないのか。そんなことを感じながらリハビリを続ける。幸いオラクル細胞のおかげで回復は早いようだが、少しでも無理をするとありとあらゆる人から叱られるため、少しずつ元の身体に戻していた。

「やあ、調子はどうだい?」

「悪くはないです」

「そうか、それは良かった」

その日のリハビリを終えて病室へ戻ると榊博士が訪ねてきた。君には色々と説明しなければならないからね。そう言って榊博士が口を開く。

「まず、君の身体は命の臨界点すれすれにあった。だが、どうやらヨハンは死を引き延ばすための薬を作っていたようでね、余程の怪我を繰り返さない限りはこの先三年は生きられると思うよ」

「支部長がそんな薬を...」

「ああ、そう言えばヨハン亡き後私が支部長代理になってね。君の通信機諸々は全て修復しておいたから安心してくれたまえ」

「ありがとうございます」

「それと、シオ君のことだけど、彼女は終末捕喰を月に持って行き、そこで終末捕喰を行ったようだね。それによって、月は緑で覆われたんだが、何も知らない人たちは月の緑化なんて言って不思議がっているようだよ」

そうですか、シオが。大好きと言ってこの星を去ったシオを思い浮かべる。大好きだからさよならするなんて、本当にどこで覚えたのだろうか。あんなところは似て欲しくなかった。愛おしいシオは両手で抱きしめることが出来ない場所へ行ってしまった。
離れていても心は繋がっていると言うシオを私が信じないわけにはいかない。愛している気持ちが届くように毎日月を見ようと心に決めた。

「最近は新種のアラガミの目撃例が増えてきていてね、第一部隊は引っ張りだこなんだ。是非とも隊長の君にも戦線に復帰してもらいたいんだが」

「承知いたしました。微力ながら尽力出来るよう努めます」

少し言いにくそうなのは、このまま戦線に立てば、ただでさえ三年という寿命を短くすることになるからだろう。星の観察者なのだから、そんな顔をしないで欲しいところである。
私は私の意志で戦場に立つ。それが第一部隊隊長としての役目であり、守りたいものを守るための唯一の手立てなのだから。

「ソーマやアリサ君じゃないが、あまり無理はしないでほしい」

「承知いたしました」

無理をするつもりはないが、無理をするしかない事態は起こるだろう。もちろんそれは口に出さずに軽く頭を下げるのだった。

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