とあるドMは神を喰らう - deer

青も緑も同じだからとりあえず直進しとけ

すっかり眠ってしまったコウタを部屋まで送り届け、お開きとなったタコ焼きパーティーの片づけをしていると、風呂からあがったソーマになあと声をかけられる。どうした?と返しながら皿を洗っていると、この時間は綺麗な月が見えるのだと窓辺に誘われた。

「綺麗だな」

「ああ」

どっちに似たんだ?お前だろ。歌が上手いのはソーマじゃないのか?相談もせずに勝手に決めるのはお前だな。私に沢山言いたいことがあるらしい。とりあえずすまないと謝ったが、どうやっても許してもらえそうになかった。

「...何で復帰した」

「私もゴッドイーターだからな」

「もう三年しかねえんだろ」

「このご時世、ましてやこの仕事だ。遅かれ早かれ私は死ぬさ」

「だから命削ってもいいってのかよ」

「それが私の使命だからな」

父に母、そして兄、私は家族の死の上を歩いてきた。更には支部長、何よりシオの選択で私は今ここに生きていることができる。それならば、私がするべきことは一つしかない。この世界で生きるために、神に抗い続ける。

「俺はお前に死んで欲しくない」

「今直ぐ死ぬわけではないんだ。だからそんな顔をしないでくれ」

人は必ず死ぬ。それが生命として生まれた者の定めであり、私もそれに従うだけなのだ。人より少しばかり早いのかもしれないが、そこに行き着くまでに少しでも多くの可能性を掴み取るために、第一線で神機を振るい続けたい。
そう伝えてみるものの、ソーマの表情は固いままだった。折角綺麗な月が見えるのに、そんな顔をしていてはシオが心配するな。眉間に皺を寄せるソーマの顔に手を添える。そんな顔をさせたいわけではないのだ。できることなら笑っていて欲しい。そうして笑っている内にいつか私のことも忘れてしまえばいい。

「...人の胃袋掴んで勝手に死ぬなんて言うな。ちゃんと責任とれ」

「すまない」

縋るように抱き締めてくるソーマに謝ることしかできなかった。死なないで欲しい、もう命を削らないで欲しい、傷つかないで欲しい、戦わないで欲しい。一緒にいたいと想ってくれるソーマの気持ちを蔑ろにすることを私は自分で選んだのだ。

「頼むから謝るなよ」

「...すまない」

「勝手に死んだら許さねえからな」

すまないと繰り返しながら目を伏せるとそんな言葉と共に酷く優しい唇が降って来たのだった。

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