とあるドMは神を喰らう - deer

油断したなら落書きもされろ

「エンの馬鹿!!」

「すまない...」

鼻をすする音に目を開ければ盛大に平手が飛んできた。中々良い平手だと褒めたいところだが、ここでそんなことを言えば次は平手では済まないだろう。
個人的には大歓迎な展開だが、殴った後にアリサが悲しむことになるのは目に見えているので、大人しく首にしがみついているアリサの頭を撫でることにする。

「ごめん俺が油断してたせいで...」

「いや、コアを摘出したことで私も油断していた」

「それで調子の悪い神機壊して自分は脳震盪起こしてぶっ倒れたのか」

「すまない...」

これは怒っているな。少しずつ近づいてくる気配にアリサの頭を撫でる手を止める。いっそのこと殴ってくれた方が楽だな。悲しそうに揺れるソーマの目を見て素直にそう思った。
心配した。きっと言いたいことは山ほどあるだろうが、震える声を絞り出したソーマはフードを深く被り直して部屋を出て行ってしまった。

「アリサみたいに表に出せねえだけで、ソーマが一番心配してたんだ」

「分かっている」

私は何度ソーマを傷つけてきたのだろうか。いい加減にしなければ愛想を尽かされてしまいそうだ。私の上でぐずるアリサを抱き締めながらそんなことを思った。

「俺のせいなんだけどさ、ツバキさんすげえ怒ってたから覚悟しといた方がいいよ。後でしばきに来るって」

「...目を覚まさなければ良かったか」

今から骨を鍛えることは出来るだろうか。折檻は大歓迎ではあるが、今度ばかりは命が危ないだろう。ああ、本当に、毎回反省をしているはずなのだが、一向に行動が変わることがないのだから仕方がない。
あそこで盾を持たないコウタがハンニバルの拳をくらうよりはマシだと思うのだが、幸せなことに私を心配してくれる人がいるおかげで、平手をされて泣かれて傷つけてしばかれることになるのだ。

「復帰早々だけど、神機ぶっ壊したから当分修理で出撃もできないって。その間は博士の手伝いでもしてろってさ」

「そうか、すまない。世話をかけるな」

「いいって!代わりに今度掃除手伝ってくれよな!」

「ああ、もちろんだ」

ハンニバルに関するブリーフィングのために集合しろとの放送が流れる。ここにいると駄々をこねるアリサをコウタが引きずって出て行くのを見送り、ソーマに何と言って謝るべきかと頭を巡らせるのだった。

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