墓場 - deer

信号が青に変わったら

呼び寄せたわけではない。気がついたら周りは黄色ばかりで、注意しながら進めと道を歩いてきた。
赤になりきらない黄色はいつだって危険信号で、あと一歩踏み出した先は檻の中なのだろう。

「もー、左京さんは遠慮しすぎですよ!」

そう言って笑うあいつに手が伸ばせないのは、自分で信号を止めているからなのだろう。この先は進んではいけないと、赤信号に立ち止まる。危険な道を歩んで来た俺と、前を見て進むこいつとでは、行き着く未来が違うから。

「ほら!行きますよ!私知ってるんですから。左京おにーちゃんは、私が手を引いてあげないとこっちに来てくれないって」

「ったく、危ねえだろ」

「勝手に壁を作って勝手に遠くに行こうとするからですよ!左京お兄ちゃんだって、今の左京さんだって、私は一緒にいて欲しいんですから!」

「......わがままばっかり言いやがって」

「わがままはお互い様ですよー!ほら、あっち!みんないますから行きますよ!」

信号が点滅する。早く、早くと変わる瞬間を掻き立てる。ああ、こいつの、いづみの力は、どんな壁すら乗り越える。立ち止まったはずの信号は、大きな一歩と共に、青く水面に輝いた。

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