「見つけた。あんたこんなとこで何サボってるわけ」
「げ。」
息抜きに校庭の隅でぼうっとしていたら、よりによって瀬名先輩に見つかった。
慌てて逃げようとすれば、がっしりと腕をつかまれてしまう。
「せ、瀬名先輩?なんだかご機嫌ナナメですね?」
「そうだねぇ。あんたが俺のレッスンから逃げなきゃこんなに機嫌悪くならなかったのにねぇ?」
「あ、あはは……」
あ、これはガチギレモードだ。大体俺のレッスンって何、Knightsのレッスンでしょ。
これだから行きたくなかったんだよ。瀬名泉怖い。
「あ」
「ん?」
助けを求めて視線をさまよわせれば、グラウンドで走っている乙狩君と目が合った。
口パクで助けて、と告げれば、乙狩君はまっすぐこっちにやってきた。
え、まじ?口パク通じた?
「瀬名先輩、だったか。彼女は嫌がっているように見える。手を放してやってくれ」
「はぁ?突然何なのあんた、お呼びじゃないんだけどぉ?」
「俺は乙狩アドニスだ。呼ばれてはいないが、彼女は助けを求めていた。小さいものをいじめるのはよくない」
「いじめるとか、人聞き悪いこと言わないでよねぇ!」
ぷりぷりと怒る瀬名先輩に、乙狩君は全く動じていない。これが強さか……。
「大体、菜々がレッスンさぼってこんなとこふらふらしてるのが悪いんでしょ。何被害者ぶってんの」
「そうなのか?菜々、サボるのはよくない」
あっさりと瀬名先輩にサボりをバラされ、乙狩君の視線がこちらを向く。
あ、やばい。瀬名先輩と違って純粋な瞳で見られると罪悪感がすごい。
「い、いや、サボりっていうかね?ちょっと調子が悪いから休憩してから行こうかなぁって」
「あんた、体調悪かったの!?なんで早くそれを言わないわけぇ!」
必死に言い訳を並べようとすれば、すごい剣幕の瀬名先輩にさえぎられた。
え、何。なんなの瀬名泉。
「もうレッスンはいいから病院行こう。お兄ちゃんが連れてってあげる」
「は?」
さっきと180度違う態度に思わずぽかんとしてしまう。もうやだ瀬名泉怖い。
「や、病院とか……そこまで大したことじゃないし」
「何言ってんの!あんたの体が一番大事なんだからね!」
「た、助けて乙狩君」
「……?体調が悪いなら、病院に行ったほうが良いと思う。それから肉を食うべきだ。そうすれば強くなれる」
だめだ乙狩君も話が通じない!
助けを求めて視線をさまよわせても、他に助けてくれそうな人はいない。
心配そうなアイスブルーとブラウンに見つめられ、私は両手を上げた。