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antonym

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悪魔ですら目を背けるような惨憺すぎる行為をして、彼は慌てて優しくも、激しく抱きよせる。

「いたかたか?」

その言葉には背徳感で苛まれる彼がひっそりとしている。

項垂れる彼女の生命を確かめるように爪を立てる。
彼は、異常だ。何か伝えようとすると、なにゆえ直ぐに奇行に走ってしまうのだろう。

「でも ワタシの痛み、刻み込んだね。

これで安心よ」

フェイタンの顔は、ぎこちなくも
わだかまりがほぐれた表情を浮かべて微笑んでいた。

「ワタシも 同じ痛みほしいよ。同じようにやてくれないか」

彼は不器用だ。
器用なら、言葉なんか無くても伝えられる。

モネは血塗れの身体でフェイタンをそっと抱きしめた。

「なに やてるか」


「フェイ 私はあなたを愛してる」

「モネ……は」


……



……





「……なに したね 今」


「キス」


《ああ、なんだ
愛ってこんなに簡単だったんだ》


「……もと。足りないよ…」

存外、反動で形成された男はその工程がいつ狂ったのかと涙した。

「ワタシ ひどいことしたみたいね。本当にすまないよ」


こんなことが広まってしまえば、
多くが彼を不快なものを見る目で、尚も下手物好きな連中のことだから注目するだろう。


「痛かった。けどね、フェイは何も悪くないよ」

周りに彼を咎める権利なんてない

彼の心情を推し量ることなど
この世界の誰にも出来やしないのだから。

「ねえ、フェイ。

もっと愛して……」


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