夢か、現か、幻影か 夢か現か、幻影か [1/7] 『今からオレの秘密言うけど、誰にも言わないって約束して』 それは、夕暮れのことだった。 振り向けば2人の足跡が波打ち際にどこまでも続いていた。一体、喋ることもせずどれだけ歩いたことだろう。 夕陽に焼ける空のように、波も紅く、また、振り返り見た彼の瞳も、普段のエメラルドグリーンの静けさを失い、燃えるように紅く染まっている。 モネは、訝しげに“分かった、約束する“と頷いた。 すると、彼はずっと向こうの水平線を見ながら、言った。 『オレ、モネのことが好きだったんだ。』 急な告白に思いがけず、モネの意識が何処かへ飛んでいきかけた。 天へ向かって、ふわふわと浮かぶ意識を捕まえるように、 『聞いてる?』 と、男は呼びかけた。 それでも応答がないので、『聞いてるの?』と立て続けに二、三回。 『おーい、モネ。大丈夫?』 紅い瞳は、どんどん目の前に迫ってきた。 両肩をがっちり固定され、揺さぶられ続けると、ふと我に返ったモネは執拗に感じてとうとう切れた。 『……聞いてるってば!!」 ______バサァ!! モネは、勢い良く布団と一緒に起き上がった。 気がつくと夕暮れなんて、海なんて何処にもなかった。 それどころか、いつも通り、隠れ家の中で世話焼きのシャルナークが、朝食の支度を済ませて顔を出したところだった。 シャルナークは、妙に息を荒げるモネを見て、きょとんとしていた。 |