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夢か、現か、幻影か
夢か現か、幻影か
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『今からオレの秘密言うけど、誰にも言わないって約束して』

それは、夕暮れのことだった。
振り向けば2人の足跡が波打ち際にどこまでも続いていた。一体、喋ることもせずどれだけ歩いたことだろう。
夕陽に焼ける空のように、波も紅く、また、振り返り見た彼の瞳も、普段のエメラルドグリーンの静けさを失い、燃えるように紅く染まっている。

モネは、訝しげに“分かった、約束する“と頷いた。
すると、彼はずっと向こうの水平線を見ながら、言った。

『オレ、モネのことが好きだったんだ。』

急な告白に思いがけず、モネの意識が何処かへ飛んでいきかけた。
天へ向かって、ふわふわと浮かぶ意識を捕まえるように、
『聞いてる?』
と、男は呼びかけた。
それでも応答がないので、『聞いてるの?』と立て続けに二、三回。
『おーい、モネ。大丈夫?』
紅い瞳は、どんどん目の前に迫ってきた。
両肩をがっちり固定され、揺さぶられ続けると、ふと我に返ったモネは執拗に感じてとうとう切れた。

『……聞いてるってば!!」

______バサァ!!

モネは、勢い良く布団と一緒に起き上がった。
気がつくと夕暮れなんて、海なんて何処にもなかった。
それどころか、いつも通り、隠れ家の中で世話焼きのシャルナークが、朝食の支度を済ませて顔を出したところだった。
シャルナークは、妙に息を荒げるモネを見て、きょとんとしていた。


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