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blue*lagoon

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絵画のある壁際によって歩いた。その先に長めの黒髪、それから下はネイビーの男の後ろ姿があった。
スラッとしたボディからか、一目引くものがある。その男が不意に振り返り、こちらに向かってきた。お互いに逸れることなく真っ直ぐを歩くと、ピタリと対峙した。耳元の宝玉が鋭く光りを放った。
「君はどこかで見た顔だ」
私は、深いブルーの耳元に、意識まで奪われかけた。
「私もその光に見覚えがある」
そして視線を戻し、男の眼から見始めた。
上下は光沢のあるネイビーのドレスコードスーツ、真っ白で皺1つないシャツを、牛皮の茶色いベルトにシッカリとしまい込んでいる。
靴はピカピカに磨かれて、男と思うと長髪でまとまりはないがサラリとして清潔感がある。唯一額のアンバランスな白帯が邪魔をしなければ、頭からつま先まで、完璧に近い。
誠実そうな男だ…

絵画がずらりと並ぶ中、壁伝いに歩いていると、高い位置に掛けられた一つが目を惹いた。
「天地の終焉……」
崩壊していく最中、抗う姿、乱れる姿をする裸の人間達。この上ない退廃美であった。神が創った世界は滅ぶ時もこう美しかったのだろうか。
或いは汚いものも、人の手を加えるとこうも綺麗に変貌することを現しているのか……。

「あれはレプリカだね。」

陶酔する中、1人の男の声が入り込んだが、私はまともに顔も向けなかった。
「そう、偽物なんだ」

「そもそもこの風景自体、現実の景色を模ったもの。
コピーが実物でも、所詮は絵画以外の何物でもないさ」
そう言った彼は、一風変わった気質を持っているように見えた。

「そうね」

「レプリカは嫌い?」

「ううん。綺麗ならばそれでいいんじゃないかしら」


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