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キミのかほり

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「おい、フェイタンいるんだろ!?中で何してやがる!!」

地面を蹴り、終いには自信の脇差を振り下ろ始末。血の気の荒い男ノブナガは不満を抑えきれずにフェイタンの穴蔵周辺をウロついていた。
しゃがんで暫く地面に耳をつけたりもした。しかし、物音1つせず姿を現わす気配はない。
耐えかねた様に舌打ちをすると、熱を帯びた地面に座り込み、汗を垂らしながらじっと土を睨みはじめた。


つい数十分前、団員同士での会話中に「ちょっと外に出てくる」そう言って突然その場から離れようとしたのは、団員ナンバー1番のノブナガだった。
背中越しから袖の中に右手を入れているのを見逃さなかったシャルナークは、彼が何を考えていたのかを瞬時に察知した。
「あいつ……」咄嗟に追いかけようと外に出た時には、既に姿は見当たらない。
”まったく、なんてスピードを出して向かっているんだ!”
ノブナガは、怒りをその速さで顕にしている。今、何をしでかしてもおかしくはない。

(こりゃ明日には筋肉痛だな)
シャルナークは心慌する中、自分の出せる限界速度で走り出した。


「いた!おい、何してるんだ!」
遠くからも聞こえていた怒声の方向に、案の定ノブナガを見つけた。日照りに焼かれ、雨に浴びた後のようにダラダラと汗に塗れていた。
それにも関わらず、フェイタンの穴蔵の入り口前で胡座をかき、地面に向かってぼやき混じりで呼びかけている。
シャルナークは何事もなかったことにホッとし、切れる息を整える様に深呼吸をした。

「シャル、お前も何とか言ってやれ」
疲れもあってか、小想までも尽きて言葉も出ない。
シャルナークは、顔を手のひらで覆って嘆息した。

「なんでそこまで執着するんだよ」

「あぁ?団長が呼んでるっつうのにいい度胸してるからじゃねぇか」
理屈じゃないんだろう、と少なくても理解しているつもりだったが、絶対に譲る気はないといった意固地なノブナガの性格に、流石に苦慮してしまう。

今までは、何かあればいつも折れてきた。『仕方ないな』そう言って優先してやった。


お前は争いや揉め事を止めに来たって思ってるかもしれないけど、そうじゃないんだ。

こっちだって理屈じゃあない。


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