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キミのかほり

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金属音のギィッと擦れる音が鳴り、地面に穴ができあがる。
怠そうな顔つきだったシャルナークは表情を変えて立ち上がり、その場から様子を伺った。

「やあフェイ、お前どうし…」

言葉を失った。

漸くでてきた男は確かにフェイタンという人物、のはず。まるで別人のように顔は青白く、やつれて、血が通ってるのか疑わしい程だった。
シャルナークはその姿に呆然とし、固唾を呑んだ。

「何しに来たよ」

「お前が心配で来たんだよ」

「余計な世話ね、ととと帰るよ」

「何だよ、人が心配してきてるのにそんな言い方ないじゃないか」

せせら笑って「心配?」と聞き返す。

お前にワタシの何がわかるか。

そう言った彼の言葉は強くも、声は弱々しく。喜怒哀楽が微塵も感じられない、乾いた空虚な眼差しから、念ではない何か別のものを感じた。

いったい何があって、この変わり様だというんだ。

「おい、待てよ!」
穴蔵へ歩き出すフェイタンを呼び止めたが、向けられた背中は、今までにないほど力無く下がっていた。
足はふらふらとおぼつかず、明らかな異変を感じた。

“今はそんな気分じゃない“

再び穴蔵の中に潜り、心共に蓋を閉じようとする。
ああ、隙間が。今止めなければ、もう当分出てきそうにないかもしれない。下手したら二度と……いや、彼に限ってそんなことは……。

彼のこと……?
シャルナークは一瞬、瞑想した。

何を憶測立てているんだろう。彼の事なんて、ちっとも知らない。だから俺はここに来たんだ。団長に連れてこい、と言われて。
だけど彼の見るからに異様な姿を見れば、いくら命令とはいえ止めようにも止めることは出来なかった。

団員はそんな彼を知らないから、話しても理解しようともしなかった。旅団内では、彼の話で揉め始めたり、暴動になりそうになったり、潜窟に押しかけたり、その度に止めに入った。
本当に、どうしようもない連中だ。


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