キルアの留守番
曇雲がどこまでも執拗に伸びた日だった。雨の前触れが微かに鼻に忍び寄る。
暫くすると、岩がゴロゴロと転ぶような音がしきりに聞こえた。

それは遠く、遠くの方からやってくる。

“やっぱり時計が気になるから、オームさんに会ってくるよ!“


そう言ってゴンは宿から出て行った。

オレは一人、薄暗い部屋の素朴なベッドの上で恍惚としている。

……興味がなかったわけじゃない。
でも、どこかではどうでもいい気がしていたのも確かだ。

オレはどこかで、見限り、自身に及ぶ影響を恐れている。毒のように知らず知らずに飲み込んでしまわないかといつも……

たとえゴンが執着したそこに意味があったって
……オレには関係ない事だ。

何にもない壁。何の変哲もない天井。何もない未来……。

(……ひとりだ……)

自分ですら、分かっていた。時間を持て余すことに僅か躊躇った。後を追うことは出来た。
自分の傾向を危惧するなんて情けない話しさ。
だが、誰も知らない。
口にも出さずただ一人、人知れず……

やはりゴンと行けば良かったか?

以前も同じように余計な雑念を繰り広げたのを覚えていたのだから……。
ああ、身体が重い……。疲れてるのか?きっとそうだ、疲れているんだ。

ああ、眠い。

意識が薄れる……


……………


……




キルアはそのまま、2度目の眠りに着いたのだった。
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