時の消失
身体の中央から末端にかけて絞り取られ、浮き上がる筋と骨。布をフードのように深く被り、左半分は隠れ、右半分は瞼のない飛び出た緑の目。
汚れたジャケットにボロボロの靴。
枯れ葉のように褐色であり、腐敗を間逃れた干し肉のように黒ずみ、干からびながら、かといってうろたえている様子はない。

“クツクツクツ。血がひいてるな。珍しいものでも見たって顔だな。まあ焦るなよ。怯えることもない“

少年は肩を揺さぶり、不気味に笑った。

それを見た時、2人の目と瞳孔が拡張された。

笑えるのか?その姿で__。

これがオームの見せる幻覚の一種であるならばオームは何故この理想卿と、時の調律者と名乗る、少年の姿形をした思念体を生み出したのだろうか……。

“僕はここでおよそ100年生きている。ご覧の姿で時間が止まってしまったまま……ね。僕が死んだと同時にこの異空間が生じたんだろう。僕の現世に対する思念が、人々を不幸に至らしめる為に”

キルア「時間が止まっている?つまり現実ではしっかりと時間が進んでいるというのか?」

“そう、君たちも時の消失した空間の生贄だ ”

キルアの口元が水平を保ったまま、漂白するように白ずんでいる。

ゴン「何の為にそんなことするんだ!何の罪もない人を閉じ込める目的は!?」

“何の罪もない。そう、何の罪もない人々が、権威やくだらない血族争いの為に箱馬車の中へと追いやられたんだ”

キルアは何かに気付いたように少年に目をやる。もう一度、その姿を確かめるように。

ゴン「箱馬車………?」

キルア「お前……もしかして………」

だが、それ以上は言葉に行き詰まった。
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