妙なアクシデントで、アジト内の空気は乱れつつも、皆が団長に視点を合わせた時には何事もなかったかのように元通りになっていた。
盗賊の団長は、我々の持つリーダーたる絶対的なイメージを裏切りはしない。
動揺せずに冷静で、自身の世界観に盲目であり、それ以外には一切無関心__それが、クロロ・ルシルフルの常だった。
ニルは恋をしていた。
彼を見た時から今でも空を眺めるような気持ちだった。そう、私は空に恋をしていた。
思い焦がれる事は、後にも先にも彼だけだっただろう。
あれから早くも2年が経つ。それまでは骨が抜かれたかのように彼を遠目から見る日々が続いた。だが、決して表には出さぬよう心がけメンバーの前ではもちろん、1人の時でさえも抑制する辛い日々を送った。
ニルは特別美しいわけではなかった。美しさで言えばマチやパクノダの方が人目を引くものがあったし、可愛さやあどけなさであるならば雫を放っておく男はいなかった。
そういったものが、大きな一枚岩になっていた。
3/9
prev next△