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__ これでよかった。
青白い。そう見えたのは、月明かりが照らすベッドの端に、自分の両足があったので、青白く映ったのだ。
宿に来る前のこと。 気付いたら、あの波止場で微睡んでいた。辺りを見渡すと水面のベッドに数隻が眠りについて、それから何も見えない夕闇の中を歩き出した。
少し、寒くも感じた気がする。
それよりも、今日の空は綺麗だ。あの星々は涙のように煌めいていた。星に囲まれる月は差し当り、猫背になっていた私のようである。
ベッドの上に蹲る、私の__
哀しみ、杞憂、不安、恐怖、その全ての原因__ クロロ・ルシルフル。
今頃は、先導切って盗奪作戦を実行している時間である。
その中には、本来ニルの姿もあるはずだったが、それはもう2度と無いかもしれない。
携帯が音もなく時間を迎えた時、ニルはそう感じて、緊張の糸が切れたように眠りの闇に落ちていった。
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