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『王さまぁ〜』
レッド・カーペットが伸びた大階段で赤はひょいと、手すりを滑ってやってくる。
『こら、お前!王に気安く話しかけるな!』
『良いではないか。好きにさせなさい』
『王さまは誰かと違って優しいもんね〜』
貧民は王を刺す、という珍事があるとするなら正しくこの光景を意味したろう。
王は『赤』を特別視している。と言うのも、王が一番恐怖したのは、他国との戦争でも貧民のデモ行進でもなく『得体のしれない悪魔』だった。
勿論、知る限りの世界では皆がそれを怖れている。
つまり『赤』の存在理由とは自身を脅かす『死』から遠ざける厄除けであったのだ。
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