黒く、黒く、染まっていく
それは完全にピンチで、僕はただ
敵から僕の我侭で連れてきてしまった蛙吹さんと峰田くんを
救けなきゃって気持ちから飛び出した、死柄木とか言う男は危険だとすぐに分かったから…ヤバイって思ったから全力で殴った、制御もできていた、けど僕の攻撃はいつの間にかこっちに来ていた不気味な格好の
敵には効いていなくて、ショックを受けてしまった。
死柄木という男の方を見ると何かをじっと見ているし、掴まれているのに何もしようとしてこないのをいい事にその視線を追うと怒木さんがいつの間にか相澤先生のそばに座って、怒木さんもまたじっと
敵の男を見据えていた。
ただそこに僕の知っている怒木さんの表情は無くて、何を考えているのかも分からないぐらい無表情で…正直ゾワリとした恐怖が襲ってきた。
そこにいるのは紛れも無いクラスメイトで、まだ少ししか話したことは無いけど怪我の心配とかしてくれて、いつも花が咲いたように笑ってるような良い人だった…筈なのに、その面影が今はなくて、その雰囲気はそれこそまるで…。
(
敵みたいだ…なんて)
僕は何を考えているんだろう、とても失礼な事だと分かっていてもその考えが消えなくて戸惑っていたら大きな音と一緒にオールマイトがいつもの台詞を言って来てくれた…でもオールマイトもいつものように笑ってなんかいなかった。
それからオールマイトは僕の目には見えない速さで怒木さんが捕縛していなかった
敵を倒してから相澤先生と怒木さんのところまで来ていた…速い!
「相澤くんすまない…」
「………」
相澤先生を抱き起こしているオールマイトに顔を向けた怒木さんに相変わらず表情は無かった。
先生を担ぎながら立ち上がると、気が付いたら僕達は
敵からかなりの距離まで運ばれていた…勿論怒木さんも一緒だった為
敵の男から怒木さんが持っていた鎖は解けていた…いや、あの一瞬でわざと解いたのかもしれないけど……それこそ有り得ない、だってそれはオールマイトのスピードに追い付いているって事に──…。
「皆入り口へ…相澤くんを頼んだ、意識がない早く!!」
「え!?え!?あれ!?速ぇ…!!」
オールマイトは相変わらず笑っていなかった…怒っているのか…?
いや、そんな事よりも伝えないといけない…あの
脳無とかいう奴が僕の攻撃が効いて無かった…!!
「
救けるついでに殴られた…ははは国家公認の暴力だ、さすがに速いや目で追えない、けれど思った程じゃない…やはり本当だったのかな…?弱ってるって話……」
「オールマイトだめです!!あの脳みそ
敵!!ワン…っ僕の腕が折れないくらいの力だけどビクともしなかった!!きっとあいつ…」
「緑谷少年」
そこまで言うとオールマイトはいつものように笑って僕の方を向いた。
「大丈夫」
それからオールマイトは
敵に突っ込んでいった…。
その間にと蛙吹さんに言われてオールマイトに言われたとおり入り口に向かおうって事になった…んだけど。
「…怒木さん…?」
「………」
相変わらず彼女は表情も無く、どこか虚ろな目で呼んでもこっちを見ることも返事をする事も無くずっとオールマイト…いや、オールマイトが戦っている
敵の事を見ていた…と思ったらオールマイトと同じように
敵に突っ込んでいった。
「怒木さん!?」
「怒木!!?」
「日詠ちゃん!」
その場に居た僕だけじゃなく峰田くん達も声を上げたけどそんな事を気にも留めない様子で真っ直ぐに怒木さんは
敵の男に攻撃を仕掛けていた…演習の時にも見たこともない真っ黒な炎を纏いながら…。
▼
「やっぱり良いな、良い動きだ」
「チッ……!!」
「手を出すなよ黒霧、こいつは俺が相手する」
「怒木少女…!?」
バックドロップで脳みそが出ているように見える
敵の動きを封じようとしようとしたら失敗して捕まってしまって身動きが取れない状態になってしまった。
そんな時に怒木少女が飛び出してきた、こちらの声は聞こえていないようだ…さっきから完全に"
敵を捕まえる"というより"
敵を殺す"ような"個性"の使い方と通常授業で見せる事の無かったドス黒い炎と反応速度…あれは"個性"の暴走か…っ!!
恐らく彼女にとって唯一の家族同然の相澤くんがやられた事でスイッチが入ってしまっているんだろう、今は一人の
敵を標的にしているがそのうち敵味方関係無く攻撃を仕掛けてくるようになるだろう…拘束さえされていなければあの少女を止めるというのに…!!
そして弱いところを遠慮なく掴まれていては私もやばい!!
「オールマイトォ!!!!」
ピンチかと思った瞬間、教え子がまた一人こちらに走ってきた。
緑谷少年、きみって奴は──…。
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