流れる血の色は鮮やかで…
「どっけ邪魔だ!!デク!!」
「てめェらがオールマイト殺しを実行する役とだけ聞いた」
「だあー!!」
「!」
BOOOOMという爆音と共に黒霧と呼ばれていた男が捕まり、オールマイトを抑えていた
脳無は体の半分を凍らされ、切島の攻撃は外れてしまったがそこに三人の生徒がまた新たに集結した。
「くっそ!!!いいとこねー!」
「スカしてんじゃねぇぞモヤモブが!!」
「平和の象徴はてめェら如きに
殺れねぇよ」
「かっちゃん…!皆…!!」
轟が
脳無を凍らしたおかげでその手がゆるみ、オールマイトは自由になった。
そこに集まった全員の目線は死柄木に集中していたが、死柄木はそこから少し離れた場所にいる少女に目線だけ送っていた…とは言っても顔を覆う手と長めの前髪のせいでそれは緑谷達には分からなかったわけだが…。
死柄木に視線を送られていた日詠はというと息を荒くし、大量の汗を流して表情は険しいものになっていたが、その目は相変わらず一人の
敵だけを映していた…まるで獲物を狙う獣のように…。
「攻略された上に全員ほぼ無傷…すごいなぁ最近の子供は…恥ずかしくなってくるぜ
敵連合…!
脳無爆発小僧をやっつけろ…出入口の奪還だ」
「!?」
「身体が割れてるのに…動いてる…!?」
「皆下がれ!!なんだ!?ショック吸収の"個性"じゃないのか!?」
氷結によって凍っていた身体を無理矢理動かしたせいで
脳無のその右半身は崩れたが、それはすぐに再生し元に戻っていく…。
「別にそれだけとは言ってないだろう、これは"超再生"だな」
「!?」
「
脳無はおまえの100%にも耐えられるよう改造された超高性能サンドバッグ人間さ」
死柄木が説明をしている最中にも
脳無は爆豪の元へ向かっていく…そしてもう一人───…。
「うん、来ると思ってたよ」
「黙れ…」
「やっと喋った…君、"個性"の暴走で自我を失いかけてるだろ?いや、さっきまで失ってたか…?許容量が限界になって若干意識戻ったのか?そんなにイレイザーヘッドがやられたのがショックだったか?君はイレイザーヘッドのフォロワーかい?」
「お前に、はなすことっ、なんか、ない…っ!」
「そうつれない事言うなよ」
死柄木が動きが鈍くなった日詠へと"個性"を使おうとし、日詠がそれを避けようとし動いた瞬間に暴風が起こる…オールマイトが
脳無から爆豪を庇い、その攻撃を受けたのだ…その全てが瞬きを一つするような僅かな時間で行われた。
「……加減を知らんのか…」
「仲間を
救ける為さしかたないだろ?さっきだってホラそこの…あ────…地味なやつ、あいつが思いっ切り殴りかかろうとしたぜ?銀髪のやつもそうだ、さっきから俺を全力で殺そうとしに来てる…他が為に振るう暴力は美談になるんだ、そうだろ?ヒーロー?
俺はなオールマイト!怒ってるんだ!同じ暴力がヒーローと
敵でカテゴライズされ善し悪しが決まるこの世の中に!!」
死柄木が思想論を話しオールマイトが一括する…その間にも日詠は今にも消えそうな自我と理性を必死に手繰り寄せていた…。
ガクガクと震える今にも
敵に襲い掛かり殺してしまいそうな身体を抑えているものの暴走して発動された"個性"は自分の意思とは関係無く攻撃の準備を整えていく。
「だめだ、だめ…殺したくない…っ!ひーろーは、ひとを
救けるの…
敵でも、ころしちゃだめ…っ!!でも、でも…っ!!!」
脳裏に焼きつく己がもっとも信頼していた人物のボロボロの姿、流れ出る血…その全てに恐怖し、絶望し…そして
敵に対する怒りと憎しみ…色々な感情が織り交ぜられ胸の内を渦巻いていく…日詠の脳内は"
敵を殺す"という思考と"誰も傷付けたくない"という思考が戦っていた…。
ぶつぶつと自分の意思を言葉に出すものの暴走は治まらない…苦しさで涙が零れ落ちその唇を噛んだ。
これしかない…と自分自身を止める方法に意を決し、自身の頭上に"個性"で作り出した剣を数本作りだし、そして──、
「日詠!!」
黒い数本の剣はその身体を次々と突き刺すのと同時に名前が呼ばれる…、日詠はそれを遠くなる意識の中聞き、その場に血を流し崩れ落ちた──…。
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