負けず嫌いは吼える
開始してから少し走った所でなにやら前方が騒がしい…どうやらさっそく障害物があるらしい、そこまで抜かれてないはずなのに皆最初からとばしてるなぁ。
『さぁいきなり障害物だ!!まずは手始め…第一関門ロボ・インフェルノ!!』
「何アレかっこいい」
かなりの数の大きなロボが道を阻んでいる…いったいこの学校はどこからそんなお金が入ってくるのか…攻撃を仕掛けてくるロボを"個性"を使って壊しながら走る、まだ前方にいる焦凍くんが小さくなってはいるものの見えるのでそこまで引き離されてないはず…邪魔しようとしてくるロボは片っ端から"怒り"という感情から作りだした赤い剣を作り出しそのロボの頭上へ素早く落とす…そうして作った道を他の生徒達も利用しようとするから"冷静"という感情を氷に変えて焦凍くんがしたように足元を氷結させて妨害した。
なんかやる事結構汚いな自分…とかも思ったけど、コースアウトをしなければいいと先生が言っているなら問題ない、筈…でもごめんね…消太くんに恥ずかしいとこ見せたくないっていうのが大半の理由なんだ…っ!!
ロボット地獄から抜け出し走って行くと第二の障害物が目の前に広がる…さっきから思ってた事だけどこの学校、生徒殺しにきてない?ヒーロー科はともかく普通科とかどうしてるの…いや、普通科とかはヒーロー科に落ちたって生徒が多いって聞いたから大丈夫なの…?
『オイオイ第一関門チョロイってよ!!んじゃ第二はどうさ!?落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォ────ル!!!」
残念ながら綱渡りを上手い事渡る"個性"の使い方は浮かばない…それなら"渡らなければいい"だけの話、簡単な事だ。
"焦り"という感情を"風"という形に具現化…これは襲撃された時に使った使い方だけど、今回は自分に対して使う…足元に一瞬暴風を起こして飛んでは着地してを繰り返していく、流石にずっと飛び続けるのは体力の消耗が激しいので今後の事も考えると節約が無難だろう。
それでも私も全力とまではいかないけどそれなりに頑張って多分一桁内をキープしてる、なのに先頭にいる焦凍くん達が遠くて…こんなにも実力差があるのかと実感させられる…そもそも私は全力を出して無いのだから、そんな気持ちはおかしいのだけども…。
『先頭が一足抜けて下はダンゴ状態!上位何名が通過するかは公表してねえから安心せずにつき進め!!そして早くも最終関門!!かくしてその実態は──…
一面地雷原!!!怒りのアフガンだ!!』
先頭にいる焦凍くんと順位を追い上げていった爆豪くんを追いかけるように走っていると、どうやらゴールはすぐそこらしくマイクさんが最後の障害の説明をしている…一旦足を止めてフィールドの足元を見ると確かによくみれば地雷があるのが分かった…そこらで地雷を踏んだのか爆発音と共に吹っ飛ばされてる生徒をみる…これまた一筋縄ではいかないようだ、自然と口許が上がってしまった。
「はっはぁ俺は──関係ね─────!!」
『ここで先頭がかわった──!!喜べマスメディア!!おまえら好みの展開だああ!!』
爆豪くんの叫び声が聞こえたと思ったらマイクさんが実況で解説してくれる…そうか、先頭は焦凍くんから爆豪くんに変ったのか…でも多分焦凍くんもそれに抗うだろうから、二人が先頭で足の引っ張り合いをしてる事になる…まぁそれでも足が止まってるわけないだろうから距離が縮まる事は無いんだろうけど…。
かなり距離が開いてしまっているけどこのまま走っていれば問題は無いだろう…いや、私は走ってはいないんだけどね?さっきみたいに風を使って足を地面からすこし浮かせて、走ってるように見せかけて空中を滑ってるだけ、安全第一だ。
大分前に来たと思った時、後ろからすさまじい爆発音と共に爆風が襲ってきた…その一瞬、
常闇くんの"個性"…
黒影の様子がおかしいのを見逃さなかった。
「……?」
爆風で軽く吹き飛ばされバランスを崩したが、すぐに立て直して走り出す…今の爆風はどうやら緑谷くんの仕業らしい、マイクさんの実況で分かったけど…さっきの爆風のせいで結構な人数に抜かれてしまった…全く、緑谷くん…きみって奴は──…!!
「やってくれるよねぇ……っ!!」
先程の考えはもう無しだ、温存なんて甘ったるい考えなんざ捨ててそこから全力で追い上げに力を入れた…負けてたまるか、それだけ考えた。
後方を走る人の事など気にせずに"個性"をがんがん使って順位を追い上げた…それでも結果はあの爆風に巻き込まれなければもっと上位にいられたと思える位置で…今回のは、風を使ってた私の落ち度か…相性が悪かった、そうだな、そういう事に──…、
「できるか死ねクソがッ!!!!」
「日詠ちゃんっ!!?!?!?」
あまりにイラついて地面に向かって思いっきり怒りに任せて"個性"を発動させて爆発させた…ちょっとすっきりした、だめだな私、これくらいの事で苛々してちゃ、だめだ、そう!別に!!怒ってない!!私は怒ってない!!至って冷静!!!冷静、冷静、冷静……。
「そんな簡単に冷静になれたら苦労しない!!!!」
「ちょおおお!!?日詠ちゃん!?おちつこ!?なっ!?悔しいんは分かるけどさっきからキャラ違わん…!?」
「大丈夫、お茶子ちゃん…私元々こんな性格…」
「あ、そうなん…でも落ちつこ?さっきから地面爆発したり凍らせたりなんかもう大変な事になってるから!」
「…わかった、次の種目で発散する…」
「そ、それもそれでなんかこわいな…」
フーッフーッと息を荒げていたのをなんとか落ち着かせる…口調とかもう気にしないわ、もういい、このままいこう…めんどくさくなってきた…暴走したら先生方がきっと止めてくれる、それを信じよう。
お茶子ちゃんのうららかオーラに癒されてようやく落ち着いた…ごめんね、こわい思いさせて…障害物競走が終了して正確な順位の結果を見ると12位…爆風が起きる前まで一桁をキープした位置にいた筈なのになぁ…と、この時ばかりは少しだけ緑谷くんを恨んだ。
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