貴方の言葉が私の全て
放送で聞こえていた話からして消太くんはまだ実況ができる場所にいるんだろうと思ってお弁当を持ってその場所まで行った…本来なら立ち入り禁止らしいけどマイクさんが入れてくれたのでありがたく入らせて貰った。
「消太くん…?」
静かに扉を開けると椅子に座って──怪我のせいで寝袋に入れないから座って寝てるんだろう──消太くんが眠っていた…んだけど私の声で起きたらしい、なんか悪い事をしたな…。
「…日詠か…ここは立ち入り禁止だぞ」
「マイクさんが入れてくれた」
「…あいつはほんと自由だな」
「それが雄英の校風じゃなかったっけ?」
「……そうだな……」
隣に座ってお弁当を広げ「いただきます」と呟いてご飯を食べる。
「…口調戻したんだな」
「うん、めんどくさくなった」
「…まぁ暴走しても無言だったんなら口調も意味無いしな…」
「また暴走をしたらって思うとこわいけどね」
「暴走しないようにするのも課題の一つだろ…あとノート見させてもらったぞ」
「がんばります……あ、読んだんだ」
「同じ感情でできる事なのにリスクが違うとなると別の特訓メニューを考える必要も出てくるが、やれる事が多いのは良いことだ」
「……特訓メニューが増やされる……」
「ヒーローになりたいなら努力しろ」
うぅ…と呻いてもそもそとご飯を食べながら今後の事を考えると震えた…ヒーローになりたいと言った時から"個性"の制御、"個性"を消した状態での対人戦闘訓練…色々してきた…多分最初こそ消太くんは諦めさせる事前提でやってたと思うくらいハードな特訓を今までやってきたわけだけど…まぁ元から自信はあった体力面は当たり前だけど、精神面でも強くなれた…と思う…それでも暴走はしてしまったのだけども…。
ため息を吐いて消太くんにからあげを一口差し出した…一瞬固まったけど大人しくそれを食べた、よし、多少は栄養を取ってくれた。
「……普通男に自分の箸で食べさせないだろ……」
「大丈夫、消太くん以外にはまだしてない」
「してたら説教だ」
「わぁ、お父さん…」
「誰がお父さんだ、やめろ」
消太くんとこうしてゆっくりと話すのは久々で自然と幸せな気持ちになってくる。
だけどこれ以上消太くんの休息の時間を邪魔するわけにもいかないのでご飯を食べ終わらせるとすぐに片付けた。
「消太くん」
「あ…?」
「最終種目、本気で戦うつもりだから数日動けなくなるかも…って事だけ伝えておく」
「……帰りの分の体力ぐらいは残しておけ」
「それは相手次第」
「おい」
「じゃあ邪魔してごめんね、ゆっくり休んでね消太くん」
「まて日詠」
「なに?」
「……頑張れよ」
出て行こうと思ったら呼び止められ、振り向くとそう小さく呟かれ思わず目を見開いた…きっと今の言葉は…"教師"としてではなく"保護者"としての言葉だ、それがわかるとすごく嬉しくって自然と顔が緩んでいくのが自分でもわかった…。
消太くんはこっちを向いてないけどとびっきりの笑顔で「はいっ!」と答えA組の控え室へと戻った。
「…さん、日詠さん、起きてください日詠さん!」
「…う……ん…?ももちゃ……?」
「すみません、気持ち良さそうに眠っているところを起こすのは大変心苦しかったのですが…午後の部が始まる前にこちらに着替えていただけますか?」
「これ……?」
「なんかねー午後は女子全員で応援合戦らしいよ!」
「だから日詠ちゃんもはやく起きて!着替えよ!!」
「というか誰も日詠ちゃんが寝袋持参してるんつっこまないんやね…」
「んー…」
のそのそと寝袋から出て目をこすって起きる…まだ少し頭が働いてないけど渡されたチアガールの衣装を皆に手伝ってもらいながら着せてもらってるうちに段々目が覚めてくる、サイズぴったりの衣装はどうやら百ちゃんが作ってくれたらしい…でも露出が多い…お腹とか出てるのすごい恥ずかしい…。
「まって…まって…こんな格好で人前に出たくない…」
「大丈夫よ日詠ちゃん、かわいいわ」
「ええ、とてもよくお似合いですわ日詠さん!今度色々着せて差し上げたいくらいです!」
「日詠って肌白いし細いのに出るとこは出てるもんね……羨ましい…」
「皆の方がかわいいよ、皆に応援された方が嬉しいよ…私はいいよ…」
「わがまま言わない!ほら!昼休憩終わるよ!!いこいこ!!」
「うぇえ……」
透ちゃんに引っ張られ引きずられるように移動させられる…。
その途中で消太くんからの言伝だって聞いたけど、多分それデマじゃないか…と思ったけど言い切れないので黙って引きずられた…。
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