心が動かされた気がした
轟焦凍くんと出会ったのは中学の時、色々あって私は彼に
救けてもらったわけだがこうして色々話しているうちに私はあの頃の自分の行いが今思い返すと恥ずかしい事をしてしまっていたのを思い出してしまったので何回か謝っておいた。
焦凍くんは今更だと気にしていない様子でいたのでこれ以上謝っても迷惑だろうと止めて読もうとしていた本を開いた…実は焦凍くんと話している内に大体の人が教室に入って座っていたので自分も何となく静かにするべきだろうと思って口を閉じた…焦凍くんは私が黙ると目を閉じてしまった…なんかごめんなさい。
静かだった教室は目つきとか悪い不良みたいな人が机に足を乗っけている所にこれまた絵に描いたように真面目そうな眼鏡の男子に注意されて言い合い?になったせいでその静かさは打ち消されたのだけど…皆の視線が二人に注いでいると、また人が入ってきてなにやら色々と話している…なんだか楽しそうだ。
けど時計を見るとそろそろ時間だったので全然読めなかった本を鞄の中にしまって静かにして入り口近くに居る人たちを見た…何か注意した方が良いのだろうか…。
「お友達ごっこしたいなら
他所へ行け」
低い声が教室の外から聞こえてきて思わず反応してしまった。
ああ、そういえば消太くんが担当するクラスを聞いてなかったなと頭の隅で考えた…そうか、学校でも私は自分の憧れたヒーローに指導してもらえるのかと嬉しくて仕方がなかった。
どうやら式やガイダンスに参加せずに何かをするつもりらしく、体操着に着替えろと言われてしまった…なんだかすごく嫌な予感がする。
場所が変わって皆言われた通り、着替えて校庭に出た…どうやら突然個性把握テストを始めるらしい…待って欲しい、私の"個性"は正直体力テストで発揮できるものじゃない…いや、やろうと思えば何かできるかもしれないのだけど慣れてない事をしたら暴走して迷惑をかけるのは目に見えているわけで…あ、でもこれは別に成績とかには関係してないだろうから何も心配しなくていいのでは!?
「よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分としよう」
あ、消太くんの目が本気だ……うん髪掻き上げてるとこかっこいいからまた見たい。
思わず死んだ目をして現実逃避をしてしまったけど、こうなったらなんとしてでも最下位から逃れられるように頑張ろう…体作りもそれなりにやってきたんだからなんとかなる…!多分!!
色々考えているうちに先ほど一番態度が悪かった不良みたいな男子…
爆豪くんが目に入った。
そういえば彼の"個性"は先ほどのボール投げですごい事が分かった、少し参考にして良いだろうか…でもなんか怖かったから真似したら怒りそうだな………よし、やっぱり普通にやろう。
50m走、握力、立ち幅跳び、反復横跳び…やっぱり"個性"を使わないでやっていると目立った記録は出せずにいる…多分今の私の順位は最下位かその一つ上くらいだと思う…これでは多分私と同じく今まで"個性"を使ってないと思われる地味な男子…確か名前は
緑谷くんだったっけ?彼がどんな"個性"かは知らないけど一つでも記録を出されたら間違いなく私は最下位だ…ちらりと消太くんを見るとその視線は緑谷くんに向いていた。
「…?」
何か思う事があるのだろうか…何となく私も気になって緑谷くんを見た。
そのあとすぐにその理由が分かった。
ボール投げで緑谷くんの番がまわってきて、彼は何か焦っているような絶望しているような青い顔で前に出てきた…きっと考えている事は私と同じだと思った…なんとなくだったけど…除籍処分なんて言われてヒーローになりたくてここまで来たであろう人が最下位近くで焦らない筈が無いんだから。
だから緑谷くんはボール投げで彼自身の"個性"を使おうとしたのだろう…それは不発に終わってしまってよく分かっていないという顔で青くなっている。
私も驚いた、まさかこんな所で久しく見ていなかった消太くんの"個性"を見る事ができるとは思ってもみなかったのだから…正直緑谷くんには感謝した。
でも喜んじゃいけない、消太くんはきっと緑谷くんに怒ってる…それが何でなのかとかは緑谷くんの"個性"がどういったものなのか知らないから私には分からないけど、消太くんは意味も無く"個性"を使うような人ではないから何か理由があるんだろうと、二人を見守った。
話が終わると緑谷くんはボール投げで"個性"を使って記録をたたき出した…人差し指が何かすごい痛々しい事になっていたから、多分消太くんが彼を一度止めた理由はそれだろう、二人の会話はよく聞こえなかったけど消太くんが先ほどと打って変わって表情が変わったので問題は解決したんだろう。
だとすれば残る問題は私だ…緑谷くんが目立った記録を出した事で間違いなく私は今最下位に立っているのだから…私は自分の持っているボールを見つめた。
今私にできる事はなんだろう、昔よりはできる事が多くなったのは分かる、ただ私の"個性"は選択肢が多すぎて頭で理解するより感覚で覚えてしまった方が簡単だった…感情をどういった形にするか、どういった力にするか、ずっと考えてきたけど考えれば考えるほどそれは選択肢を増やして自分の首を絞めるだけだった。
ゆっくりをボールを持って一歩一歩前に歩き出す。
緑谷くんはこの短時間で何か解決策を見つけ出して、一歩前進したのだから私もそれを見習わないといけない…私だって除籍されるのは嫌だ、失望されるのは嫌だ、もう独りになるのは嫌だ……何より負けたくなかった。
私はもう無力じゃないのだ、今まで色々教えてもらって、ずっと努力してきたんだ、失敗を恐れて何ができるっていうんだ…今までだって沢山失敗してきた、それを経験値にしてきたんだ…。
何を今までうだうだと考え込んでいたんだろう私は、私の"個性"は選択肢が多い、けど…。
「それだけできる事が多いって事ですよ…っね!!」
投げる瞬間、"個性"を使った事で私もそれなりの記録を出す事ができた。
参考にしたのは紛れも無く爆豪くんの"個性"の使い方だった、怒りという感情を爆発という形で具現化させただけ…多分もっと他にも考えれば出ただろうけど今は彼の使い方が私にとっても使いやすかったからという理由で…だったんだけどやっぱり睨まれてしまって申し訳なくなった。
それから緑谷くんの怪我を気にしつつも残った種目を自分なりの"個性"の使い方を見つけ出して記録を上げたので最下位からは逃れられた…そう、私は頑張ったのだ…私だけでなく緑谷くんも指の怪我痛そうなの我慢して頑張ってたのに…!!
「
合理的虚偽ってなんですか消太くんの嘘吐き!!」
本気だったくせにと思わず叫んでしまってこの後クラスの注目を浴びてしまったのは言うまでも無かった。
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