臆病者は何を見る




対人戦闘訓練第一戦目爆豪くん、飯田いいだくんチームと緑谷くん、麗日さんのチームだった。
テストの時爆豪くんと緑谷くんは何なにか因縁みたいなものがあるように感かんじたけど、大丈夫だろうか…ボロボロにされないといいけど…。
焦凍くんの傍から離れて、同じチームになった葉隠はがくれさんと尾白おじろくんに挨拶をしにいく。

「尾白くん、葉隠さんよろしくお願いします!」
「あ、よろしく怒木さん」
「よろしくねー!あ、とおるでいいよ!!」
「じゃあ透ちゃんですね!私の事も名前で呼んでいいですよ!」
「やったー!じゃあ日詠ちゃんね!!」
「二人共テンション高いね…」

ついノリで話していたら尾白くんが置いていかれていた…なんかごめんね、マイクさんと話してる時みたいだったからなんか楽しくなっちゃったんだ…反省はしておく、授業中だし。
透ちゃんときゃっきゃっとしながら地下にあるモニタールームに入り2チームの戦闘を観戦する…爆豪くんがすごい暴走してるように見える、あれは完全に私念しねんで動いている…チームを組んでいる飯田くんが慌てているのがモニター越しでも分かった。
思わず息をのんだ…私にはできない、センスの塊…これは今の彼に感じても良い思いか分からないけど、とても羨ましく思った…私もあんな風に戦えたらとか、あんな風に感情を爆発させられたらとか…消太くんとはまた違ったド派手な戦闘スタイルに胸がおどった。

結果第一戦目は緑谷くんと麗日さんのチームが勝ったけど、ボロボロで評価も良いとは言えないものだった。
あの中で一番状況設定を把握し、的確な動きをしていたのは間違いなく飯田くんである…その評価は正しいだろう…実際ここに消太くんいたら緑谷くんはまた怒られそうな"個性"の使い方してたわけだし。
第二戦目のくじはBチームとIチーム…つまり、轟くんのチームと私は戦う事になった。

「日詠ちゃん、日詠ちゃん、大丈夫?」
「え、何がです?」
「あの轟って子と仲良くしてたから戦えるのかなって」
「ああ…それは、まぁ大丈夫ですよ!心配ありがとうございます透ちゃん!」
「そっか!!じゃあ日詠ちゃん、尾白くん!私ちょっと本気出すわ!手袋もブーツも脱ぐわ!」
「あ、はい…」
「うん…」

つまり透ちゃん今全……いや、考えるのはよそう…同じ女の子としてそれは大丈夫なのかとか、羞恥心とか無いの…とか思うけど、透明人間としては正しい判断だと思うし……見えなければ良いんだ!!きっと!!
それにしても焦凍くんと戦闘か……私に彼の相手ができるかな…。
そんな事を考えていると急に冷気がきてみるみる内に部屋も足元も凍っていってしまった…寒さと足の痛みで昔ヴィランに追いかけられた記憶を思い出す…あの時の方がまだ辛かった気がして思わず笑う。
焦凍くんが上がってきて私たちが居る部屋の前に来た。

「動いてもいいけど、足の皮剥がれちゃ満足に戦えねぇぞ」

核に近付いていく焦凍くんが私の横を通りすぎていく瞬間、足を凍らせていた氷を具現化させた炎で溶かしすぐさま奇襲を仕掛けると焦凍くんもそれが分かっていた様子で反応して攻撃を仕掛けてくるがそれをなんとか避けて後退した。

「…そう簡単にクリアさせちゃくれねぇか…」
「当たり前じゃないですか、友達とはいえそれとこれとは別ですよ焦凍くん」

とは言ったものの二人をたすける暇を与えてくれそうもない、それにあっちのチームはもう一人いる…障子しょうじくんを呼ばれたら2対1になってしまう…それならそうなる前にと焦凍くんに再び攻撃を繰り出す、氷で攻撃される度に私は炎で氷を溶かしていくものだから焦凍くんの顔が段々険しくなっていく。

「チッ…!!」

焦凍くんが少し怒ったように思いっきり私に向けて舌打ちをして睨んできたもんだから怯んで思わず攻撃を緩めた瞬間全身を氷結されて身動きが取れなくなった…溶かされる前にと焦凍くんは急いで核爆弾の張りぼてに触れて訓練はヒーローチームの勝利に終わった。
負けてしまった…悔しくて凍っている身体を自分で解かしてから俯いていると焦凍くんが申し訳なさそうな顔をして私の方へ来た…そんな顔をしないで欲しい。

「…悪い、加減を間違えた…」
「え?ああ、全然気にしてないですよ!戻って講評聞きましょう!」
「ああ…」
「あ、透ちゃんに尾白くん助けられない上に負けちゃってごめんなさい!」
「いや、謝らなくていいよ怒木さん居なかったらそれこそ瞬殺だっただろうし…」
「そうだよ!それにたすけようとしてくれてたのは分かったし!」

皆が優しくてほっとしたけど、透ちゃんに講評は後で教えて欲しいと言ってオールマイトに許可を貰って保健室に向かった。
実は奇襲を仕掛けた時加減を間違えて足の裏を少し火傷してしまったのだ…大した事は無いのだけど、先程の焦凍くんとの戦いで見せた焦凍くんの目は憎しみや怒り、それから…何か哀しい気持ちが映っていた…あれは私に対してではないのは分かっているけど、そんな目を向けられた事は今まで無かった筈なのにいつの日だったかあんな視線を誰かが何かに向けていたような気がして頭がズキンと痛んで考えるのを止めて震える手を抑えて歩いた。





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