組織

雲雀の言葉に二人はいても良いのか、と不安気な様子だが、綱吉が「そのまま聞いてください」と笑みを浮かべて言う。

「三雲、黒の組織のデータを」
「…アサリ」
【はい、マスター】

三雲がテーブルに置いていたリモコンを操作すれば、壁にスクリーンが現れ、一人のツインテールの少女が映し出された。アサリが一礼したと同時にずらっと名前が出てくる。

「組織の構成人数は下っ端や科学者を含めて約3000人、うち幹部と呼ばれる人物にはカクテルの名前が付けられています」
「ハハハ、門外顧問の香辛料と同じなのな!!」
「うるせーぞ山本!!三雲さんの話を聞きやがれ!!」
「…よく、見つけれましたね」
「アサリは優秀なAIです。すべての電気器具のハッキングは勿論、その足すら残りません。
なので組織の人間はこれが盗まれ、こうして公になっていることは知らないでしょうね」

降谷、松田は関心し、そして同時に危険だと思っていた。
ボンゴレという組織はおそらく我々よりも数歩…否それより進歩したものを作り出しているようだ。
小さくなる薬もほぼ完成されているようだし、透視機能を備えられるコンタクト、そしてハッキングにはもってこいのAI…そして松田が見た匣兵器…。
他にもそれ以上のものがあるのだろう。
それらを駆使する彼らを果たして日本の警察は…否世界すべての警察たちは止めることができるのか…。

「組織の名簿は見ての通りです。
その中から私が見て偽名を使っているのは…赤文字の名前の人たちです」

文字が赤くなった名前には降谷は勿論同じく潜入している高野の名前もあった。
降谷が気になったのはライの名前がそこにあったことだった。
ということはあの四人の同居メンバー全員が偽名を使って潜入しているということだ…否三雲だけは名前のみ本名だった。

「さらにこれらの名前にカクテルが付けられているのは…8人」
「ってことは彼らが?」
「えぇ、彼ら全員が潜入捜査員」

そう言った瞬間名前の横に所属名と本名が書かれた。
バーボン 安室透 降谷零 公安、といった風に。

「ライがFBI?」
「公安にFBI、CIAまでいるじゃねぇか」

松田はあまりのことに笑いしかでない。
ーまるでスパイの巣窟じゃねぇか…。

「ってことは彼らを仲間に付けるってことっすか?」
「いや、全員味方につけるのはやめた方がいいだろうな」

「「「!!!」」」
「あら、お帰りリボーン」
「ただいまだぞ」

存在感も出さずに声を発したのは黒のランドセルを背負った小学生だった。
黒のジーンズに白のワイシャツをし、黒のボルサリーノを被っていた。

「お前らが公安の降谷零と捜査一課の松田陣平か、俺はリボーンだよろしくな」
「「??」」
「はは、リボーンは見た目は小学生だけど俺達よりはるかに年上ですよ」

そう言った綱吉のことが信じられなくてジロジロと見てしまう二人。

「アルコバレーノの話は後ででいいでしょう」
「山本さっきの答えは分かるか?」
「んー…気が緩む?」
「まぁ平たく言えばそうだ。
ボンゴレという強大な力がバックにつけば誰しも油断が生じる。
それにより、スパイは勿論その後ろにいる各組織、ましてや俺達にも影響がないとは言えない…白蘭はこちらについているが、もしそうなった時あの10年後の世界のようになりたくはないだろ?」
「…白蘭がこちらに協力している以上、今その可能性が高いのはこの黒の組織…」
「ではなぜこの二人には教えたのだ?松田はいいとして、降谷の方はまずいのではないのか?」

「いや、降谷さんには協力者として私のサポートを任せたいの……降谷さん、信じられないかと思いますが…
スコッチ、否高野祐さんの寿命のタイムミリットがあと2日です」
「「!!」」
「私も彼は信用に値する人物だと判断しています。
そのために骸、貴方の力も借りたい」
「勿論です」
「ありがとう」
「なんで…ばれたのですか?」

降谷の震えながらの問いに彼女は左右に頭をふる。

「流石に私には未来を見る力はないから…なんとも言えないわ」
「組織に殺される…まぁノックだと気づかれたのが普通ですよ」
「裏切には制裁を…」

リボーンの言葉は会議室に重く響いた。