スコッチ

あれから組織の話をし、最後はあと二年で彼女が組織から抜ける計画を話して終了した。
そして今日、スコッチ…高野祐が死ぬ。

「じゃ俺は任務に行ってくるよ」

そう言って出ていったスコッチをジッと見るのはバーボンこと降谷だった。
降谷には今だ信じられなかった。まさか彼が今日死ぬなど…。
スコッチが出ていったあとライも任務といい部屋を後にした。
それを見送ってから彼女の部屋をノックする。
「どうぞ」との言葉を聞いて今日の朝食であるハムサンドとローズヒップティーを持って部屋に入る。

初日と違い彼女の部屋には物が充実していた。
基本四人は互いの部屋に入ることはタブーと初めの方に決めた為、個人部屋はある意味自分の城となる。
そしてそれは彼女の部屋もだった。
三台のディスクトップがスコッチが買ってきた勉強机にあり、箪笥からは本来の年齢の分の服と今の姿の服があり、降谷が買ったベットに彼女は寝転びながらノートパソコンをいじっていた。
本来の姿を見てからというモノの彼女を子ども扱いをすることなくなった降谷。
今思えば確かに彼女は子供でありながら子供らしくなかった。
子供番組は殆ど見ず、お笑いを見てもどこがおもしろいのかわからないと言って、鉄腕を見てたりしていた。

「…何してるんですか?」
「んー車の注文」
「は?」

そう言っている彼女のノートパソコンをいればフェラーリなど有名なスポーツカーが載っていた。

「貴女のですか?」
「んーん、私にはGT−Rがあるから」

そう言った彼女の車を思いだす降谷。
あの日たまには、ということで彼女の愛車であるオレンジ色の日産GT-Rに乗せてもらったのだ。
最新だというその車は滑らかな走りで技術の日産ならではの特徴があった。
しかも車庫にはそれぞれ守護者達の車やバイクが複数そろえられており、松田と共に興奮気味に見ていたのは記憶に新しい。
綱吉、獄寺、雲雀はカワサキのバイクを持ち、六道、山本、笹川はそれぞれ有名会社のスポーツカーを所持していた。
しかも彼女自身のドライブテクニックはあの小学生のリボーンに叩きこまれており、正直降谷でも舌を巻く運転技術だった。そのドライブテクニックに応える彼女の愛車を彼女は愛していた。

「では誰の…」
「ひーみつ」

そう言って彼女はまた別のスポーツカーを見る。
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そして夜…スコッチの寿命が残り120分のカウントになった瞬間彼女は動き出した。
あらかじめスコッチの携帯には発信機をつけていたため、それを見ながら降谷に運転を任せてその場所に向かう。
たどり着いたのは人気のない廃ビルだった。
だが彼女はその反対にあるビルに上がっていく。
安室もその方向に足を向ける。
彼らが反対のビルにつけばスコッチとライがいた。

「スコッチと…あれはライ!!」
「ライが殺すとは考えにくいけど…」

彼女はスコッチの寿命のカウントが減っていることを確認し、静かにボンゴレボックスにオレンジの炎を注入する。
そうすれば闇夜に浮かぶ鳥…ライファーンが出てくる。

「これが匣兵器…」
「ライファーン形態変化…ライフル」

鳥の姿が変わり、現れたのは一丁の白いライフルだった。
彼女はそれを構え、スコープの所からジッとその時を待つ。
降谷も双眼鏡を使ってジッと様子を見る。
どうやら二人は何やら争っているようで、ライを投げ飛ばすスコッチ。
その後はスコッチが自分の胸にライから奪い取った拳銃を己の胸に当てた。

「!!!」
「…あれか」

それからも二人は何やら言葉を交わしていた。
銃をスコッチが離そうとしたときだった。
ビルの階段を誰かが登っているようだ。
それに気づいた二人に緊張が走ったようだ。

三雲はスコッチの寿命を確認し、ライフルの引き金を引いた。
パシュッっと聞こえるか聞こえない音がしたと思いきやその銃から放たれた弾はスコッチの拳銃を弾き飛ばした。

「「!!!」」

だがそれでもスコッチの寿命のカウントは止まらない。
三雲はライフルの銃口を登ってくるだろう人物に向ける。
そしてその人物が現れると同時に引き金を引く。

「がっ!!」

見事頭に弾が当たったようでその人物は倒れる。
それを確認してスコッチを見れば、彼の寿命のカウントは長く伸びていた。
降谷が心配そうな顔をしてこちらを見ていたので大丈夫の意味を込めてOKサインを出せば安堵したのかホッと息を吐いていた。

「さ、二人の所行きましょう」
「えぇ」
「ライファーン戻って」

白いライフルから姿を変えたライファーンはボックスに引き込まれるように消える。
それを見ていた降谷はどこかの有名ゲームのモンスターだなと感じた。