イタリア

日本を旅立って数時間…。
一同はイタリアに着いた。イタリアに初上陸した降谷と松田はキョロキョロしながら先頭を歩く二人についていく。
四人が空港から出れば、人だかりができており、その中央には黒いリムジンが一台停まっていた。
しかもボンゴレのエンブレムが入っている。
降谷と松田は「まさか…」と呟く。
そんな二人を置いて、三雲と天野は躊躇なくその人だかりに向かっていく。人だかりの人々がそんな彼女を目にした瞬間「ボンゴレ!!」「ボンゴレ!!」「三雲〜」「ボンゴレの姫だ!!」と声をかけていく。そんな人々に彼女も笑みを返している。
運転席から一人の男が出てき、三雲と天野に礼をする。
そして荷物を預かり、いまだ固まっている二人に近づいてくる。

「お荷物をお預かりいたします」
「あ、ハイ!!」
「はい…」

荷物を預けたら天野がチョイチョイと手を振って呼ぶ。
二人は何とか動き出し、黒いリムジンに乗り込む。
リムジンの中にはワインなどの酒類がそろえられていた。
人生生きてきた中でリムジンなど乗ったことがない二人は緊張しっぱなしだった。

「そんなに緊張していたら、本部に着いた時どうするんだよ…」
「いや、でも…」
「ましてや降谷は婚約者だぞ?」
「……」
「あら、固まっているわ」

そうして一行はボンゴレ本部のある街に出発した。
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リムジンに乗ってどのくらい立っただろうか。
森が多くなり、どこからともなく霧が出てきた。

「着いた」

彼女がそう言えば霧が晴れ、森に囲まれた門が現れた。
門には大きなボンゴレのエンブレムが彫られており、リムジンが近づくと独りでに門が開く。門の先には立派な噴水があり、その噴水を囲むように四つの木が植えられていた。
そしてその先に大きな古城が立っていた。
古城の入口にリムジンは停まり、その近くに待機していたスーツを着た男が車の扉を開ける。そしてその後ろから執事服を着た老人が現れる。

「姫様、天野さんお久しぶりでございます」
「久しぶり、セバスチャン」
「お久しぶりです、降谷、松田彼は執事長のセバスチャンだ」
「降谷零です」
「松田陣平です」
「ほっほっほっ、お二人のことはボスから聞いておりますよ…さぁ立ち話も何です、どうぞ中へ…」

日本語をスラスラと話すセバスチャンに関心する二人。セバスチャンを先頭に屋敷の中に入る。
中は赤い絨毯が敷かれ、様々なところに高級な花瓶や歴史的な絵画が飾られている。
扉などの装飾も一つ一つ高級感が漂う。

「…なぁ降谷…俺、これ壊したらどうなるのか、すっげぇ気になる」
「頼む、やめてくれ…俺も気になるが…」
「二人ともマジでするなよ」
「「…あぁ」」

ボソッと話す彼らに対し、三雲は修業時代の天野の話を聞いて笑っている。
そして階段を上り、目の前にボンゴレのエンブレムの彫られた扉が見える。
扉の左右にはスーツを着た男と黒いマントを持った幼い顔付きのメイドがいた。
メイドは三雲に一礼するとマントを羽織らせる。

「ありがとう」
「と、とんでもございません!!」
「貴女初めて見るわ…名前は?」
「…カナンと申します」
「カナンは齢15です」
「フフフ、そんな若くて…」

三雲はカナンと呼ばれた幼きメイドの頭を撫でるとカナンは顔を赤らめると一礼して下がる。それを見て三雲は降谷を呼ぶ。天野は降谷の肩に手を置き、ニッと笑う。

「ここから先はお二人だけの面会となります。
天野、松田様をご案内しなさい」
「はい、松田こっちだ」

松田は天野と共に別室へ向かう。
三雲は降谷の顔を見て、「深呼吸」と声をかける。
その言葉に降谷はふーと息を吐く。どうやら本人も気づかぬうちに緊張し、息を最低限になっていたようだ。
深呼吸したことによってましになったのか強張っていた顔に笑みが浮かぶ。
それに対して三雲も小さく笑う。
そんな二人を見ていたセバスチャンは安心したように笑みを浮かべる。
そして重々しい音と共に扉が開かれる。