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扉の先には一つの大きなベットの上に、橙色の瞳を持った優し気な雰囲気を出す老人がいた。
そのベットの横には彼女と同じマントを羽織った彼女の弟である綱吉が椅子に座っており、左右には彼らの右腕たちが待機していた。

「九代目」
「三雲、よく戻ったね」
「はい、ただいま帰りました」

三雲はマントをなびかせ、九代目のもとに行き、差し出された手にキスを落とす。
そして九代目はその瞳を降谷へと向ける。
降谷は一瞬ピクッと身体が動くモノの流石トリプルフェイス…。
瞬時に笑みを浮かべ、彼女達の傍に近づく。

「君が降谷くんかい?」
「はい、日本警察庁警備局警備企画課の降谷零と申します」

九代目はジッと彼を見つめていた。
そしてしばらく見た後その皺をさらに寄せ笑みを浮かべる。

「…君は民のことを…己の国を愛し、護る覚悟があるようだね」
「はい」
「それでいい、ボンゴレにはそう言った心の持つ主があう」

その言葉の先を続けたのは十代目である綱吉。

「もともと、ボンゴレは町を護る自警団として活動していました。
その後二代目がマフィアとしての基礎を作り、現在の形があるんです」
「家光から聞いたよ…君は恋人の命よりも国民を優先すると…その言葉に偽りはないかい?」
「…ありません」

はっきりと言う降谷にさらに笑みを浮かべる。

「三雲もそれでいいんだね?」
「もとより、私は守られるより、護りたいのよ」
「もう…姉さん女性なんだから」
「関係ないわ」
「で、でもさ」
「でも、でもなんでも私は私のしたいようにする」

二人はその後しばらく言い合いを始め、九代目はそれを見て微笑む。
孫のように慈しみ見守ってきた存在たちだ。幼い頃は三雲は才女として幾多の能力を開花しながら育ち、弟はそれに劣等感を抱いていたが、三雲も年の離れた弟を大事にし、愛を注ぎ、護ってきた。そのためか綱吉は力を持った今姉を護ろうとする傾向が強い。

「…降谷くん」
「はい…」
「彼女を任せたよ…あの子は強いようで弱い」
「……」
「あの子達は…いや特に三雲は他者を護るために己を平気で傷つける…それで己の命が危険に晒されようとも…」
「護ります…必ず」

その言葉に安心したように九代目は笑い、己の傍に置いていた一つの箱から黄色い宝石の付いた指輪と匣を取り出す。

「その覚悟があるのであればこのリングを渡そう」
「これは…」
「君の覚悟が本物ならば、炎が灯り力となるだろう…」
「でも話で聞けば属性が…」

その言葉に笑みを浮かべた九代目。

「君は、ファミリーを襲う逆境を自らの肉体で砕き、明るく照らす日輪の様だからな」
「日輪…」
「リングの使い方は彼女に聞けばいい…」
「はい」

その後は検査の時間となり、三雲と降谷、綱吉はともに外で待機していた天野と松田のもとに向かう。