complete

その間にキッドとコナンの攻防は続いていた。
屋形船に設置されていた提灯が水上に落ちた瞬間爆破をし、それをコナンは見事なテクニックで避け、その距離をどんどん縮めていく。キッドはそれに笑みを浮かべ、操縦室から離れ、座敷に止めてあったブルーリフレックスマイカ色のマツダのロードスターに乗り込む。運転席には黒の帽子をかぶった女性がいた。

「頼むぜ〜」

キッドの言葉に彼女は笑みを浮かべ、返事をするようにブォン!!とエンジンを吹かせる。その直後だった。屋形船は壁岸に当たり粉砕する。
それが合図だったかのようにロードスターは屋形船の爆風と共にその姿を現し、道路に着地する。
それからは見事なドライブテクニックを披露していく。階段の手すりに車輪を乗せ一気に階段を降り、細い路地をぐんぐんスピードを出して抜けていき、大通りに出ていく。
コナンはキッドが車で逃走を図ることに疑問を持つもののスポーツカーに後れを取らないようについていく。
ある程度その距離を縮め、バックルから飛び出てきたサッカーボールを蹴ろうとしていた。そんなコナンの姿をバックミラーで見ていたキッドは笑みを浮かべる。

「来るぜ」

またもや女はフッと笑い、コナンからボールが蹴りだされると同時にハンドルを思いっきり右に切る。そのまま右に切り続ければ車体はその場でグォンと回る。
そうすればすでにコナンの足から蹴りだされてたサッカーボールの軌道修正できるはずもなく、車体ぎりぎりと通り抜けていく。それに舌打ちをこぼすコナンだったが、一気に距離が縮まったことには変わりはない。
大きくジャンプをすると麻酔銃のカバーを開けて狙いを定める。

だが、その時別方向から男が舞いでたと思いきや時計を腕から綺麗に外された…否切られた。あまりのことに驚き、目を見開けば、ロードスターからは真っ白な鳥のようなものがこちらに向かってくるではないか。
その鳥は翼をサメの背びれのように縦にし、その翼でコナンの乗っているスケートボードを縦に真っ二つに切る。

「いっ!!?」
[ピューィ!!]

次から次に起こる不可解なことに思わず声が出るが、空中でバランスを崩し落下するものの、甲高い鳴き声と共にその鳥に襟足を掴まれ優しく地面まで降ろされる。

「あ、ありがと…」

地面に降り立ったコナンは思わずそう言う。コナンをその鳥は橙色の瞳で見て頭を傾げ、バサッと音を立ててオレンジ色の火の粉をまき散らしながら飛び立つ。
コナンはそれを見てから切られた腕時計と、スケートボードを見る。

「腕時計を切った時に見えたあの着物とこの切れ味…斬鉄剣…成程、なら最初から言えよな…ルパン三世」

コナンはそう呟いた後、先程の不思議な鳥が飛んでいった方角を見る。

「…しかしあの鳥、鳥なのか?あとあの車を運転していたのは…ルパンの一味?だがあんな人いない…それにあの鳥の瞳…なんか沢田さんに似てたな」

コナンがボソと呟いた時、後ろからCR-Zに乗った松田がやってき、コナンは回収された。それをまたもや双眼鏡から見ていた天野はインカムに「missioncomplete」と言葉を入れたのだった。