雨と嵐

降谷の言葉により、三雲は一時期恐怖に顔を青ざめていたが、作戦を話せばその顔つきは変わる。

「では、おじさままた当日に」
「あぁ、…三雲はあいつらを迎えに行くんだろ?」

ルパンの言葉に彼女は苦笑をしつつ頷く。
彼女が今回の件に呼んだのはヴァリアーの幹部メンバーだ。勿論イタリアのルチアーノのアジトにも幹部を配置しているが、主力となるべきなのは、ボスであるルチアーノのいる日本。

「雨のち嵐か…こりゃ失敗は許されないな…じゃ五右エ門、しっかり留守番よろしくな〜」

ルパンはそう言って基地にしているアジトを去る。それを見送った三人もそれぞれ準備にかかる。
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警視庁ではICPOの銭形警部がルパン逮捕の為、一課の刑事たちに今回の説明をしているところだった。
参加するのはルパンが初恋の人だという、佐藤と彼女の彼氏である高木だった。それを面影から見るのは、勿論ルパンでニヤニヤと今回銭形が選んだ捜査官を見ていた。
一人高木が別行動をすれば占めたとばかりに彼を追う。

一方成田国際空港には三雲を乗せたロードスターが到着した。運転するのは勿論天野だ。
彼はなれた手つきで運転し、助手席を開ける。黒のスーツを着た彼女はゴォオオオと音を立てて着陸する飛行機を見ていた。そのうちの一つに黒の機体にボンゴレのエンブレムの描かれた飛行機が着陸する。
しばらく待てば、黒のコートを着た銀髪の男と、同じく黒のコートに金髪を目が隠れるほどまで伸ばした男がやってきた。

「Chao」
「おう」
「シシシひっさしぶり〜、三雲、天野」
「お久しぶりです、スクアーロ様、ベル様」

そうこの二人こそボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアー幹部の雨の守護者と嵐の守護者だ。二人の暗殺技術はボンゴレ内でも上位クラスだ。今回はルチアーノの捕獲だが、マフィアに国が関わっている為、血なまぐさいことになるかもしれない。

「んで?俺らはどこに待機すればいいんだぁ?」
「それに関して追って連絡をするわ、ただ空港の近くがいいと思ってね、近くにホテルを用意してるわ」
「えーーーってことは待機ぃ〜」

ベルの不満そうな声に苦笑しつつ頷けば、「お嬢の命令ならしかたねぇ」と呟く。二人を本当に空港から近いホテルに案内し終え、またもや東都に戻る。

「13時…作戦開始してますね…さて、これからどうします?」
「おじさまならうまいことやってくれますよ…とりあえず、次元おじさまの様子を見てこようかしら…」
「了解です」

そう言って彼は目的地をサクラサクホテルに変更した。
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「ところで、ゼロのことはどうするんだ?」
「うぐっ」

いきなり敬語を外した天野は呆れ口調でそう言葉をかける。彼が敬語を外すときは、決まってプライベートの事だけだ。

「…怒ってますよね」
「だろーな…なんだかんだ言ってあいつもお嬢が大事だからなぁ…」

アイツは国の為だと言いながら、彼女と婚約をしたが、それでもあいつが彼女をないがしろにしたこともないし、逆に過保護を発揮するまでになっている。

「…まぁ説教は覚悟してますよ」
「ははっお供しますよ」