チェリーサファイア

時は少し遡って12:55頃。
東都銀行の周りには多くの警察官やパトカー、ヘリ、ミサイルを積んだ特殊な車までそろっていた。
見事高木に変装したルパンは銭形や佐藤と共に東都銀行に潜入していた。
ルパンの犯行予告まで残り五分となった今、道路の封鎖や警備をしている警察たちにも警戒心が出てくる。

そして高木に偏したルパンは13:00ぴったりに犯行予告通り行動を開始する。まさか捜査一課の佐藤があそこまでできると思わなかったのと、銭形の異常な生命力に脅かされたモノの、無事チェリーサファイアを盗むことに成功した。
後は外にいる警察たちだが、変装用のマスクをかぶらせたり、商店街をひっちゃかめっちゃかにすることにより、楽々と当初から脱出する地下鉄の通路に入り込んだ。

「やっぱ泥棒は脚力だよなぁ〜」

ぬふふ、と笑いながらポケットからカギを取り出せば、ジャリっと音がするためそこに目を向ければ…グレーのスーツに身を纏い、褐色の肌に淡黄色の髪、空色の瞳をした童顔の男がいた。ルパンは瞬時に彼が何者か分かると口笛を吹く。

「ひゅ〜…三雲の旦那さんのご登場ってわけね〜…会えてうれしいぜ、ゼロくん」
「アルセーヌ・ルパン三世、かの大泥棒に会えて私もうれしいですよ、で私の婚約者はどこです?
あと何、人の婚約者とこそこそしてるんですか、黒の組織関連じゃないんですよね?アイツが自分から突っ込んで、俺に内緒にするってことは、マフィア関係なんでしょ?なら俺に黙っている理由は何ですか?」

「ノンブレス…」とルパンは苦笑をこぼす。降谷からはただならぬオーラが出ており、天野と三雲があれ程怯える理由が分かった。
ーこりゃキレたらめんどくさい奴だわ…

「…でどうなんですか」
「あ〜…しばらく婚約者借りるぜ」
「…なるほど話すつもりは、ないと」
「え…そりゃあたりm」
「ならば捕まえて全部吐かせてやしましょう!!」
「げっ!!」
「逃がしませんよルパン!!」

そう言って降谷とルパンの地下鉄での追いかけごっこが始まった。

「まてルパン三世!!!」
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「ん?」
「どうした」
「今、安室さんの声聞こえなかった?」
「あ?そんなの空耳だろ空耳」
「ん〜?」

地上を歩いていたコナンには安室の声が聞こえたよな気がしたが、小五郎の言う通り、気のせいなのかもしれない。何せ潜入中の降谷さんがそんなに叫ぶはずがないだろうし…。
そう思いながら目の前に見えてきたサクラサクホテルを見上げたのだった。