真実へと

「心配はない、ライブの中止などない」

サクラサクホテルの一室ではルチアーノが今回の取引先の男と電話をしていた。

「あぁ、場所も時間も変更しない」

そう言って男は電話を切った。その部屋にはエミリオのマネージャーであるクラウディアが眉間に皺を寄せて床を見ていた。

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「取引は絶対させない…そして悪い奴は全員捕まえる…絶対に」

一方とある公園のベンチではエミリオとコナン、蘭たちが会話をしていた。今回エミリオが何故自殺を思わせるようなことをしたのか…その真実をコナンと蘭、そして公園の雑木林では次元にライラプスが話を聞いていた。ライラプスの右頬付近には映像を取ることができるボンゴレ開発の超小型ビデオカメラがついていた。そのビデオカメラの映像、音声は近くに待機している三雲と天野の元に送られている。

「…やはり、ライブをしている時に取引をしているようですね…」
「えぇ、あとは場所とブツのありか…」

エミリオから出される答えでは詳しい詳細までは分からない…だが、ライブを彼がすると決めた以上取引は必ず行われる。日にちを変更したりしても、その変更日が取引の日程だ。

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一方ルパンたちのアジト…
電話が鳴った為待機していた五右衛門は電話に出る。彼らの目の前にはコナンの友人である三人の子供がいた。

『あいつが真っ直ぐ指さしているんだが…まさか、か?』
「まさかでござる」

五右衛門は彼らに差し出された茶菓子に溜息をつき、茶を入れる。勿論その茶には睡眠薬が入っている。その茶を何も疑いもせずに飲むのは子供ならではだろう。三人は気持ちよさそうに夢の世界へと旅立っている。
子供たちが寝た後ルパンは愛車であるアルファロメオの荷物入れから出てくる。

「出されたものは口にしちゃだめでしょ〜。さ、持ち物検査しましょうね」
「女子も剥くのか!?」
「剥くっていうな!!」

言い方にもあるだろう…とあきれ顔をするルパンの背後のシャッターが開き、一台の紫色のワゴンが入ってくる。

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またも場所は変わって警察庁警備局警備企画課の一室では、パソコンを睨みつけていた降谷のもとに彼の部下ある風見が書類を持ってくる。そして書類の内容をパソコンから目が離せない彼に変わって読み上げる。

「イタリアンマフィア?」
「はい、今入った情報ですと、この日本で大きな取引を行うと…」
「その取引の相手はルパン、ではないようだな?ルパンが取引相手ならば、ダイヤを捨てる、そして先日のチェリーサファイアなど価値のほぼない物などを盗まないだろうし…」
「えぇ、ですがそこもまだ、あやふやなところです。しかし恐らく何かしら関りはあるだろうと思われ、降谷さん?」

内容を聞いた降谷はパソコンのデータを保存すると上着を着て立ち上がる。そして風見の持つ書類を手にとり、一枚一枚確認していくのだ。

「(なるほど…イタリアンマフィアが関わっているから、彼女もルパンに協力したと…マフィア関係ならな彼女が動いても何らおかしくはない。ましてや己の庭であるイタリアに日本…その二つで今回のことが起これば、ボンゴレも黙ってはいないだろう。そして確実にルチアーノ達の首を取る方向になる…そうなれば暗殺部隊も動くはずだ。
しかし取引のブツがヴェスパニア鉱石だとすれば、場所は…そしてルチアーノはどうやって持ち運んだ?原石のままではばれる可能性があるだろう…何かに加工したのか?
くそ、あまりにも情報が少なすぎる…いや、まてよそう言えば…)風見」
「はい?」
「確かキッド…否ルパンが間違ってダイヤを盗んだ時、少年を最初に保護したのは、爆弾処理班の松田陣平だったよな?」
「え、あはい、報告ではそうなっています…降谷さん?」
「ちょと出てくる」

降谷はそう言って、己のプライベートのスマホを取り出すと"グラサン"と書かれた名を探し出す。
そして電話をかける。

『…はい』
「今大丈夫か?」
『ん?あぁ、大丈夫だ。お前から電話なんて…どうした?』
「いやな、ちょぉっとお前に聞きたいことがあってな」

"ちょぉと"と間延びされた言葉と彼の声音に電話に出ていたグラサンこと松田陣平は匣兵器の豹…パンサーの毛繕いをしながら冷や汗を流したのであった。