開始の合図

エミリオライブ当日。
ライブ会場裏では銭形警部を筆頭にした警視庁チームと降谷零を中心とした警察庁チームがそれぞれの場所でモニターを見ていた。

「降谷さん、もし会場で取引が行われる場合は、今見ている部屋のいずれかかと…」
「あぁ、ありがとう風見」

そう言って降谷は昨日同期の松田から聞きだした情報をもとにミニターを見る。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

昨日…
「あ?俺が知るかよ」
「嘘つけ、いきなりこんな高い車に変えれるほどお前に余裕はないだろ」
「…」

松田が乗ってきた車に降谷は視線を送ると、松田はグラサンをハンカチで拭く。

「図星か」
「ったく、一体どこから情報漏れたってんだ」
「コナン君だよ」

「あのガキ…これで天野にどやされる」と呟きながら降谷が買ってきたコーヒーを一口飲む。

「あぁ、俺は確かに先日キッドに変装したルパンたちと行動を共にした」
「……」

続きを無言で促す降谷に溜息を吐く。

「なんでもマフィア同士のでっかい取引がエミリオ・バレッティーのライブ時に行われるらしい。だが、どこで取引が行われるかは、これからって言ってたな…」
「…そうか、ありがとう。恐らくライブはカモフラージュだな…」

降谷はそう言って踵を返し、愛車のもとに向かう。これだけの情報で何があるのか分かるのは、さすがだ…と思いながら走り去っていくRX−7を見送る。
ーーーーーーーーーーーーーーーー

しばらくモニターに映るルチアーノを見ていた降谷だが、ルチアーノが地下へ続く扉に入ったことに気づき、立ち上がる。

「風見ここは任せた!!」
「降谷さん!?」
「ルチアーノが地下へ向かった!!あそこには監視カメラに映らない道がある!!」

それだけ言って走りながら己の愛車のもとに行く。その際白の車に乗ったルチアーノとすれ違い、無意識に舌打ちが出た。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
〈旧羽田整備地区〉

「ここに来るんだろうなぁ!!」
「スクアーロ煩いですよ」

大声で言葉を発する男に溜息を吐きながら、天野が注意する。そんな二人を面白そうに見ているのは嵐の守護者であるベルフェゴール。彼は「シシシ…」と笑いながら己の獲物であるナイフを磨いている。

「まぁ姫の超直感を信じれば、ここだよね」
「…」

三雲は旧羽田整備地区にある倉庫の一つを形態変化させたライファーンのスコープで見ている。

「OK、アサリおじさまに連絡を」

一つの倉庫にスコープを当てれば黒の車がやってくる。その車に乗っているのはルチアーノの取引相手で、ルパンの手の平で踊らされていることも気づいていないアラン・スミシーだ。
耳に付けている通信機でアサリに指示を出せば、コール音が響き、ルパンの声が聞こえる。

「おじさま、旧羽田整備地区」
『OK、ありがとうね〜』

そう言って電話は切れる。電話が切れれば、彼女はライファーンをもとの姿に戻す。肩にのったライファーンの顎下を撫でれば「クルクル」と小さな声が聞こえる。

「時間はライブの始まる時間帯…それぞれ準備お願いね」

そう声をかければ、それぞれ匣兵器をだし、リングに炎を灯す。

「さぁ、仕事開始するよ」