今回のキュラソー保護計画に関わっていた人物、リボーン、ラル、バジル、萩原、骸、雲雀、草壁、そして今だ尚寝ている三雲、更にメインであるキュラソーはイタリアのボンゴレ本部に居た。
キュラソーは初めて見たボンゴレの屋敷を見て固まっていたが、案内役としてやってきたクロームに手を引かれて、ボンゴレボスである綱吉のいる部屋にやってきた。

「みんなお疲れ様」

綱吉は入ってきたメンバーに祝いの言葉をかける。綱吉の部屋には既にほかの幹部たちもそろっていた。迎えられた者たちは笑みを浮かべて部屋に入っていく。
そしてキュラソーは初めて見たボンゴレボスに目を見開く。
重力を無視したように逆立つ髪の色は彼女と同じハニーブラウン、そして目の色は彼女のマンダリンガーネットよりも茶色に近い瞳を見て、ブルームーンが何者かを瞬時に理解した。

「貴女がキュラソーだね」

「座って」と優しい言葉で話しかけクロームに手を引かれ彼女は椅子に座る。
そして始まったのは今回の件の報告だった。三雲の動きに関してはAIのアサリから報告を受ける。
キュラソーは只驚くことばかりだった。まさかかの有名なマフィアであるボンゴレが今回の件で己の知らないところで動き、ジンの右腕を封じ込め、オスプレイを撃退したこと、全ての報告に唖然としていた。

「公安は恐らく協力関係になるだろうし、FBIに関しても三雲から身を明かし協力関係に結びたいと思う」
「キール…本堂瑛海の巣であるCIAも交渉しに行かないといけないと思うよ」
「そうだね」
「ちょ、待ってっ!!!」

キュラソーは内容を聞いて思わず声を上げてしまった。
何故ならば、黒の組織とつながりのあった己の前で堂々とこれからの動きを報告しあっているからだ。己が裏切ってそれを組織に報告しないとどこに証拠があるのだ。それに己は脳の損傷により、記憶力はかなりいい。それは一度見たモノを全て再現できるほどだ。なのに、その危険性を感じないのかっ!!
思わずそれを大声で話してしまったが、隣に座っていたクロームがキュラソーの手を握り、落ち着くように声をかけてくる。

「ならお前は組織にそれを報告するのか?」

リボーンが静かに言葉を発すれば、キュラソーは動きを止める。
組織を裏切った以上キュラソーには帰る場所はない。それに恐らく己は死んだ者として処理されているだろう。

「正直俺たちは、君の持つ組織の情報が欲しかった為に保護したことに変わりはない。実際ファミリー全員に君を確保するように指示したのはボスである俺だ」

その言葉にキュラソーは思わず手を握っているクロームの強く手を握る。

「でも、君が子供たちと楽しそうに過ごし、助け、組織を裏切った時、俺は思ったんだ」
「…何、を…?」
「君をファミリーに迎え入れたいって」
「!!」

キュラソーは信じられないとばかりにその部屋にいる全員を見る。全員こちらに殺気など向けることもなくただ優しい眼差しをこちらに向けていた(数名は目をつむっていたが)。

「きっと姉さんもそうだと思うよ」
「!!」
「だから俺からの指示…"確保"を”保護"に変えた」

キュラソーはこぼれてくる涙を必死に口を噛んで隠していた。

「どうかな、君が良ければだけど、僕たちのもとでファミリーとして暮らさないかい?マフィアだから、危険なこともあるかもしれないけど…」
「え…」
「勿論、一般人として過ごしたいならそうしてもらっても構わない。勿論情報を貰ってからになるけどね」
「十代目っ!!それはいくら何でも」
「獄寺君、良いんだよ」
「っ…分かりました」

「君はどうしたい?」と優し気な瞳で聞かれ、キュラソーは口を開く。

「わ、私は…」

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「はー、まさかそれを選択するとはね」

そう言って三雲はセバスチャンに入れてもらった紅茶をゆっくり飲んでほぉっと息を吐く。
その視線は目の前の庭で黒のスーツに身を包み子供たちと遊び、笑みを浮かべている女性に注がれている。
あの事件から一週間たってようやく彼女は目を覚ました。そしてすべてを報告しに来たクロームと共にお茶会を楽しんでいたのだ。

「それでいいのかしら?」
「彼女は自分の意思で決めた…だから後悔、無いと思う」

クロームの言葉に三雲は笑みを浮かべ「そっか」と小さく呟く。
そして彼女を呼ぶ。目の前まで来てくれたキュラソーに笑みを浮かべる。

「これからよろしくね、キュラソー…いいえ、"いろは"」
「!!、えぇ」

日本のアジトに新たな部下と共に帰った時、天野とキュラソーこといろはが対面し、互いに指を指して固まったのはもう少し未来の話。