正体

数日後降谷の元にリボーンから例の件についてメッセージが来た為、コナンに赤井に連絡するように頼んだ。
勿論コナンもその話に食いついてくることはリボーンにとっては想定内だった為、コナンもついてくるようにメッセージには含まれていた。
そして…


「………you`re kidding?(嘘だろ?)」
「えっ…ここってボンゴレカンパニー?」

ボンゴレアジトの扉を見て赤井は口を開けて固まり、コナンそんな赤井を見上げ、?を浮かべて降谷を見上げる。
そしてコナンの言葉に一般人ならばそうだよな…と小さく呟く。
マフィアボンゴレファミリーの表の顔は、世界の大企業の一つ…ボンゴレカンパニー。本社はイタリアに在り、医療、建築等々…様々な分野に特化した会社だ。
代々社長は初代創業者の血族が継いでおり、現在は初代の直系の子孫である日本人が会社の社長をしている。
コナンは色んな事件に首を突っ込んでいる物のそこは一般人。
まさか有名な大企業の裏の顔…というか本当の顔がマフィアなんて想像がつかないだろう…。

だが赤井は違う。
FBIに属しているからボンゴレカンパニーの正体は知っているはずだ。だからこそ、アサリマークを見てのこの反応なのだろう。

「まぁコナンには彼女達から直接話してもらえるはずだ」

そう言って扉を開ければ、細められたマンダリンガーネットとブラウンダイヤモンドの瞳がこちらに向けられていた。


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コナンは今現在混乱状態に陥っていた。

安室さんに連れられて向かったのは東都から少し離れた位置に存在している並盛町。特に何か珍しいものがあるわけでもないこの町は恐らく大体の人は通るだけの住宅街だ。
そんな町の地下に己が見るのはもっと先だろうと思えるほどの基地が存在し、己の正体を知っていた人と同級生(コナンの)は笑みを浮かべてこちらを見ていた。何故そこにいるんだリボーン…。

「ようこそ、連邦捜査局捜査官赤井秀一さん、それに高校生探偵工藤新一くん」
「!!」

そう言ってニッコリ笑いながら爆弾を落としてきたのは、先程のボンゴレのエンブレムを背景にする青年だ。
俺はとっさに赤井さんと降谷さんを見上げたが、彼らは「気づいていた」と一言呟いた。…まぁ優秀な捜査官な二人が気づかないハズがないよな…。
ハハハとから笑いをしていれば、席に座るよう促される。
俺と赤井さんは降谷さんに促され、長い机の丁度エンブレムに居る青年と正面になる形で座った。

「まずはここが何なのか説明した方がいいだろうな」

そうリボーンがコーヒーを飲みながら話せば三雲さんの横に座っていた降谷さんが立ちあがる。

「赤井は気づいたかもしれないが、コナンくん…いや新一くんここが何の組織か分かるかい?」
「…そういう聞き方ってことはボンゴレカンパニーというのは答えじゃないんだね」

俺がそう言えば、降谷さんもリボーンも三雲さんも青年、更に一歩下がった所から見ている男性もニヤリと笑みを浮かべる。
恐らくヒントはこの部屋にあるあのエンブレム。
俺は再度エンブレムを良く見手見る。
エンブレムに彫られているのはVONGOLAの文字とそれを象徴するアサリ。その左右に二丁のライフル、そして中央にはライフルの弾…ん?
そこまで見て俺は疑問に思った。
ただの会社のエンブレムにライフルとその弾を描くか?
昔ライフルが主流だった時代にボンゴレが創立されたのであれば、ボンゴレは頻繁にライフルを使う集団であることが分かる。
そしてボンゴレの本部はイタリア…。イタリア…ライフル…イタリア…、イタリアの歌う貴公子…ルチアーノ…あ。
顎に手を当てて考えていれば一つの答えにたどり着く。

「イタリアンマフィア…?」

まさかという声を発しながらコナンがそう言うとリボーンの口角がクイっと上がる。

「正解だぞ、ここはマフィア界トップクラスの実力を持つイタリアンマフィアボンゴレファミリーの日本支部アジトだ」

その言葉と共に拍手が送られる。
俺はリボーンのその言葉があまりにも信じられないモノだと感じた。

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「改めまして、俺がボンゴレファミリー]代目ボス、沢田綱吉です」
「私はその姉、沢田三雲よ」
「…OH、まさかボンゴレの血筋だったのか…」
「そうよ」

赤井は三雲の言葉に頭を抱えていた。
確かに彼女が幼少期になっていた時に放った言葉はボンゴレの大空の在り方だった。
コナンもそんなにすごい人なのかと目を見開き、リボーンに視線を移す。

「俺は二人の家庭教師、リボーンだ」

リボーンの言葉にコナンは待ったをかけた。
それはそうだ。小学生のリボーンが明らかに成人済みの女性、男性の家庭教師なんておかしい。
自分と同じように組織の薬…アポトキシンを飲んで縮んだのか?

「新一くん、リボーンは君たちと同じ薬を飲んだわけじゃないんだ」
「リボーンはアルコバレーノと呼ばれる人たちなの」

アルコバレーノ…イタリア語で"虹"の意味を持ち、全員が呪いにより、赤ん坊の姿になっていた。
6年前、綱吉たちがリボーンたちの呪いを解いた為、現在一年ごとに成長をしている。

「…ってことは」
「見た目は子供、頭脳は大人、最強ヒットマンリボーンとは俺のことだ」
「ヒットマン…」

まさか同じクラスに俺と同じような状況で(黒の組織の薬の影響ではないが)、殺し屋がいるなんて…。
リボーンの言葉に赤井は納得したように頷いてた。