王手を

「そう言えば、そこの男の人は?」

コナンがふと降谷と三雲の後ろに控えている男に目をやれば、彼を降谷が紹介する。

「コイツは三雲の直属の部下の天野一だ」
「よろしくな、工藤少年」

左右に手を振ってあいさつする男を見て赤井はボソッと呟く。

「ちなみに彼、黒の組織に潜入していた捜査官だ」
「え!?」
「元警視庁公安所属でした〜」
「えっ!?」
「しかもなかなかの射撃の腕前だ」
「えっ!!?」
「ちなみにゼロとは幼馴染で〜す」
「えぇええ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「工藤君落ち着いた?」
「ははは、何とか…」

ただえさえ本日沢山の情報が入ってきて頭はパンク寸前だ。
ひとまず整理していきたいと思う。
まずは人物から…。

赤井秀一さん…FBI捜査官。現在は組織の眼を欺くために死んで沖矢昴として工藤邸に住んでいる。
過去組織に潜入しており、その時のコードネームはライ。ライフル射撃の腕前はこの部屋にいる人物では1、2位を争うだろう。
頭も切れる優秀な捜査官だ。

降谷零さん…警察庁公安に所属しており、現在トリプルフェイスをこなしている捜査官。
組織でのコードネームはバーボン。その観察力、情報収集能力はここにいる人物の中ではトップクラスだろう。
現在三雲さんと婚約をしている。結婚したらボンゴレでの地位もそれなりのモノになるだろう。

天野一さん…元警視庁公安に所属し、降谷さんと共に組織に潜入していた捜査官。
組織に潜入していた時のコードネームはスコッチ。三雲さんに助けてもらったのち、世間をだますため死を偽装し、彼女の部下として過ごしているようだ。
降谷さんの幼馴染らしい。

リボーン…コナンの同級生だったが、実年齢は赤井さん程らしい。
呪いにより、赤ん坊にさせられていたが、綱吉さんたちの尽力により、呪いを解き、現在成長中とのこと。
三雲さんと綱吉さんの家庭教師だったらしく、その能力は未知数。

沢田綱吉さん…現ボンゴレファミリー]代目ボスで、ボンゴレ創立者T代目ボスの直系の孫。
見た目は栗色の髪にブラウンダイヤモンド色の瞳をしている。たぶんこの部屋にいる人たちの中で一番常識人で、一番権力を持っている人物。

沢田三雲さん…現ボンゴレファミリー]代目ボスの姉で、降谷さんの婚約者。
見た目は栗色の髪にマンダリンガーネット色の瞳をしている。T代目と同じ瞳の色をしているらしい。
初代から受け継がれてきたブラット・オブ・ボンゴレにより、歴代一の直感を持つらしい。
そして今まで様々なことに暗躍していたのは彼女とのこと…。
天野さんの件、萩原さんと松田さんの件、ルパンの件、キュラソーの件、そして俺と灰原に護衛が付いたのも全て三雲さんの采配らしい…。
あぁ…俺の正体を証拠をまとめて突きつけたのも彼女だ…。

そしてボンゴレが組織に介入しだしたのは約五年前。
イタリアでは勿論だったが、丁度日本での活動が盛んになりかけていた時だそうだ。
ボンゴレファミリーは元は自警団として活動していたのが始まりらしい。
ましてや日本は現ボンゴレボスの故郷。
白羽の矢が立ったのはボンゴレボスの姉でありそれなりの実力を持った三雲さん。
潜入時はボンゴレファミリーが開発した特殊な薬で身体を小さくして潜入したそうだ。そして降谷さん、天野さん、赤井さんとフォーマンセルを組むことになり、子供ならではの行動で組織の情報を盗んだらしい。
数日前のキュラソーの件でボンゴレはキュラソーを仲間にすることに成功し、既にその情報を得ているという。
さらに組織に分からないようにAIを潜り込ませ、情報を定期的にボンゴレ本部に流すようしているという。…本当味方でよかったぜ。

「ってことは今ボンゴレには…」
「あぁ、公安、FBI、その他の組織が得ていない情報を持っている。…そこでだ」
「各組織と連携して」
「黒の組織に王手をかけませんか?」
「「!!」」

綱吉さんの言葉で俺…たぶん赤井さんも背筋に電撃のような物が走った。
組織の存在を知って奴らを追いかけても情報が殆どない時は本当に暗闇の中を走っているようだった。だが、今回の綱吉さんの言葉で、光が見えてきた。
ましてや公安とFBIの仲の悪さは折り紙付き…その二つの組織が己たちより格上のボンゴレを挟むことによって協力をしようとしているのだ。

「既に我等日本警察はボンゴレと協力することになっている」
「なおアメリカ以外の黒の組織に関わっている各国の組織は既に答えをいただいています」
「あとは…」
「FBI(俺達)とCIAか…」

赤井さんの言葉に三雲さんと綱吉さんが頷く。

「まぁこちらは貴方達など必要…」
「こらゼロ!」

ハハハ…降谷さんのFBI嫌いはここでも健在かよ…。
赤井さんはしばらく考えて一つ頷く。

「分かった、FBI、CIAには俺が何とかしよう」
「そう言うと思ったぜ」
「赤井さん、お願いしますね」
「あぁ任せろ」

赤井さんの言葉にリボーンは頷き、俺を見る。

「そしてお前は…俺らボンゴレファミリーの作戦本部にて今回の作戦を考えてもらう」
「え」

リボーンの言葉に俺は固まってしまう。そんな俺にニッコリと笑みを浮かべたのは綱吉さんだ。

「本来はボンゴレの安全なところに居てもらおうと思っていたんだけど、君の頭脳は降谷も三雲もバジルも認めている。
それならお前のその頭脳を貸してもらいたい」

俺が…今回の作戦製作にかかわる?夢か?

「夢じゃねぇ」
「君のその頭の中にある知識で」
「黒の組織を壊滅させましょう」

「っはい!!!」