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あれから数日。
コラソンも「目を覚ました」と、くまから聞き、シャルとローはコラソンの部屋を訪れる。
コラソンの病室にはドラゴンをはじめ各幹部たちがそろっていた。
その部屋にいる人物たちのなんともいえぬ気迫にローは冷や汗が出る。

「コラさん、調子はどう?」
「……シャルお前…一体」
「…まだ何も話してないの?」
「みんなそろったほうがいいチャブル!」

#syaruがそうドラゴンに尋ねればそれに回答したのは顔が異様に大きい人物…エンポリオ・イワンコフだった。
そしてイワンコフはシャルの後ろに隠れているローをのぞき込む。

「ヴァナータが珀鉛病の少年ネ」
「…!!」
「イワちゃん…」

ローはおそらくオカ…体は男、心は女性な人たちを初めて見たのだろう。
口をポカンと開け、完全に固まってしまった。
シャルは固まっているローの手を握ってコラソンのそばに行く。
そこでようやくローの意識は戻ってきたようでコラソンに抱き着き安否を心配する。

「こ、コラさんケガ大丈夫か!?」
「あ、あぁ大丈夫だ…俺よりローは大丈夫か?」
「あぁ!俺は大丈夫だ!珀鉛病も徐々に完治していっている!!」

そうあれからローは能力こそまともに使えていないが、オペオペの実の能力のおかげか徐々に肌の白いところがなくなりつつある。
シャルはそれを見ながら毎度すごいな…とつぶやくのだ。
二人が久々の再会をしたところで、イワンコフが声をかける。
その言葉でローとコラソンは自分たちを囲むように立っている人物たちを見る。

「たぶんコラさんは気づいていると思うけど…私たちは政府を敵として社会変革を目指す組織…革命軍」
「か、革命軍…ということは」
「ここは革命軍リーダードラゴンの船よ…海軍中佐ドンキホーテ・ロシナンテ」
「!!」

シャルの言葉にコラソンは驚愕の表情を浮かべる。
それはそうだ。
革命軍とは政府に喧嘩を売る反政府組織。
最近活動が活発になってき、政府は革命家ドラゴンを世界最悪の犯罪者として危険視している。
そんな人物がいま目の前にいるのだ。
しかも薄々気づいていたといえ職業の階級まで知られているとは思わなかった。
驚きと戸惑いがある中さらに革命軍の幹部たちは自己紹介をしだす。

「ヴァターシがエンポリオ・イワンコフヨ!!」
「バーソロミュー・くま」
「イナズマ」
「…俺が革命家ドラゴンだ」
「!!」

コラソンはこの男が…とつぶやきながら入れ墨を入れた男を見る。
そして最後にその隣に立つ少女を見る。

「革命軍暗殺部隊隊長モンキー・D・シャル」

にっこりと笑みを浮かべてそう話す少女にコラソンは眉間にしわを寄せる。
こんなまだ小さな人物に暗殺をさせている革命軍に疑心が生まれる。

「ちなみに勘違いされると困るけど、暗殺は私が自分からやりだしたこと…リーダーや幹部たちは何度も止めたわ」
「そうだ…だが何言ってもこやつは辞めん…それにこやつの力により様々な事柄が達成されたのは事実だ」

ドラゴンはあきれたようにため息を吐き、娘の頭を軽くたたく。

「それでこれからの話だけど…コラさんはどうしたい?
一般人としてこれから過ごしたいのであれば、希望の島で降ろす…
海軍に戻りたいのであれば同様に海軍基地のある島で降ろす…
ドフラミンゴのもとに行きたいのであれば…彼らがいるであろう場所を特定して連れていく」

最後に「どうする?」と締めくくる。
コラソンの頭の中では、ぐるぐると考えが行きかう。
海軍として戻ればこってり怒られて下手したら階級は落とされるだろうが、育ての親であるセンゴクに迷惑がかかる。これ以上迷惑をかけるわけにはいかない…。それにオペオペの実を盗むと決めた時点で、もう海軍に戻る気はなかった。かといってドフラミンゴのもとに戻るなど殺されに行くようなものだ。
一般人として過ごすにもこの二つの勢力をよけて過ごすのは酷な話…。
うんうん…と悩むコラソンにそばにいたローはきゅっと服を握ってコラソンを見上げる。

「な、なぁコラさん」
「!!なんだロー?」
「あのな、お、俺…俺革命軍にいることに決めたんだ!!」
「!?」
「お、俺コラさんに渡された密書を知らなかったとはいえ敵に渡してしまった…そのせいで一つの国が亡ぶことになった…それなら俺がその国を救う!!
そ、それにどこに逃げても海軍とドフラミンゴがいるなら…俺は革命軍で力をつけ海賊になる!!」
「!!」

ローの必死な言葉にコラソンは雷に打たれたような衝撃を受ける。
革命軍の幹部たちがいる前で彼らを利用して海賊になると宣言するローの度胸に素直にコラソンは成長したなと感じるのであった。
ローの決心を聞いてコラソンにもストンと胸に何かが落ちた。

「ドラゴンさん、俺も革命軍として仲間に入れてもらえますか?」
「……」
「海軍中佐の俺を信じられないと思いますが「よかろう」え…」

「だからよかろうといっている。
お前の事はすべてシャルから聞いておる。
センゴクに育てられたことも、もう一つの事も…」

そうドラゴンは言って娘の頭をなでる。

「お嬢は情報を集めるのも得意チャブルヨ」

ヒィーハーといいながらイワンコフは「本部にいるメンバーにも伝える!!」と言って部屋を出ていく。
それについていくイナズマ。

「だが、ドンキホーテ・ロシナンテが生きていると知らればめんどくさいな…」
「父さん、私に任せて」
「…なにかあるのか?」
「うん、海軍だけでもあざ向けれるはず」
「任せたぞ」
「アイアーイ」