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では後は任せたぞロー」
「はい」

がちゃ…と医務室の扉を開けて出てきた医師にシャルは声をかける。

「どう?彼は」
「おぉお嬢、フム顔の火傷は治らんだろうな…ローがオペオペの実を活用したら、治せるだろうがな」
「記憶は?」
「…そればかりはな…同じような衝撃を与えたら戻る可能性は大いにあるがそれは危険を伴う」
「だよねぇ…」

二人はそのような会話をしながら、カルテに心拍や施術内容をカルテに記入するローを見る。

「ローの医者としての腕は?」
「ふむ、もう私が教えることはないほどだ…」
「…何を」

ローを見ては自分を否定するようにいう老人にシャルは何を言ってるんだと思う。
この老人、偉大なる航路の前半の海にあるドラム大国出身の医者なのだ。医療大国として栄えているこの国の医療技術はトップクラスなのだ。その医者から見てもローの能力はトップクラスなのだという。

「先生、ここってこれでいいのか?」

二人で話していればカルテをジッと見ながら考えるようにこちらにやってきたロー。
どうやらカルテに記載する単語の確認のようだ。老人は嫌な顔することなくローの書いたカルテをのぞき込み、適切にアドバイスする。シャルはそんな二人を見ながら術後の少年の元にいく。
顔左側には包帯が巻かれ、ところどころ擦り傷や小さな火傷の跡がある。
金髪の髪はイガクリのようにツンツンだ。
ふと自分を呼ぶルーファの声が聞こえたため恐らく自分が帰ってくるころのには目を覚ましているだろう少年に小さく呟く。

「…ようこそ革命軍に、サボ」

そう呟いてローと老人に声をかければ、「気をつけて」と「無茶すんな」の言葉を貰う。
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シャルが任務にでて数日後サボは回復し、左側は包帯を巻いていたが医者から許可が出たためアジトを探索していた。記憶がないことは厄介であったがそれを気にしなくていいほどここは面白い。
何より自分達の世話をしてくれるコラソンが特に面白いらしくサボはずっこけるコラソンを思いだしてはくすくす笑う。そんな時見かけない背中を見つける。

後ろからは性別は分からないがアザラシのような模様をした帽子を被り、黒のシャツを着た人物だ。
身長は自分より少し高いか同じぐらいかだ。エビスダイの魚人、ハックの魚人空手の訓練で見たことない人物だ。
サボは興味津々でその人物の後ろに声をかける。

「なぁ!あんた!」
「?」

声をかけられて振り向いた人物…ローは眉間に皺を寄せたまま「なんだ」と一言サボに声をかける。

「なぁなぁお前ハックの空手で見たことないな!俺サボ!お前は?」
「…トラファルガー・ロー」
「と、トラフ…トラ、トラフル…」
「…ローでいい」
「そっか!よろしくなロー!」

サボは嬉しそうに手を差し出し握手を求める。
それにローは一瞬眉間に皺を寄せたが素直に手を出せば、ブンブンと振るサボにローの機嫌は急降下。
その後もサボはローについてき、いろいろな質問をしていく。
ここにきて長いのか?や年、身長、どこに向かっているのかなど…。

「なぁなぁ!ローここの本部で誰が一番強いと思う?」
「……」
「俺絶対ドラゴンさんだと思う!!あ、くまさんも強いけどさ、やっぱどr「シャル」え?」

ペラペラと話すサボにローがそう答えれば、サボはぴたりと言葉を発するのをやめた。
そしてそれは一体誰だという顔をしている。そこでローはそう言えば会ったことがないのかと思いだす。
だが今回も彼女と共に任務に向かっているルーファの声が聞こえたことにより、ローは外へ向かう。

「ローシャルって誰だ!?」
「…歳は俺達と同じぐらいだ」

ローがそう言いながら歩けば、まだ見ぬシャルという人物のことが知りたいサボは自然とついてくる。
屋上につけばいきなりの強風に砂が舞う。そんな中でもローは空を見上げ、ゆっくりと両手を空に向ける。

「…お帰りシャル」
「ただいまロー」

砂埃が収まりかけた時サボは見た。
差し出したローの腕に自分と年は然程変わらない黒髪の少女がいた。
少女はローに笑いかけ、その後に自分を見たのだ。