過去よ知れ


輪廻転生を繰り返していく中でひとりとして同じような者に囲まれに同じ生きて死んでを繰り返した者などいないと私は考える。
実際問題、自分と彼女の時点で恋仲であった次の出会いでは、会話すら交える事なく銃弾を撃ち込むだけの接触とは言い難いものしかない。
そもそも、隣でテニス雑誌に目を向けているこいつに関しては事実過去にこの手にかけようとしたが残酷なまでに失敗に終わっている。
現世、何度も何度も思い返しても腹が立つ。
それは自分になのかこいつになのかは、正直定かでは無い。

閑話休題。
先程も自己完結させたが、腹が立つのは自分になのか跡部になのかはっきりしていない。
しかしながら、ひょこりと何の前触れもなく目の前に現れた懐かしい顔は私の考えとはまったくもって違うのだろう。

「三郎だよな?久しぶり、?」

どこか違和感のある笑みを向ける兵助に、一瞬どくりと胸が跳ねた。
本来ならば、昔懐かしい顔に高揚する心もふわりとも浮かびすらしない。
ああ、というなんともそっけない返事を返して兵助に対してなんとなし説明をしている跡部に逃げるように目を向けた。

「今日は、存分に見ていけばいい。明日には、練習用のジャージも用意させる」

「助かるのだ」

「その様子だと懐かしい顔なんだろ?特別に鉢屋には休憩やるよ」

「随分と優しい部長だな、三郎」

共に学び舎で過ごした頃であれば、おいおいそんなんで卒業できるのかと矢羽音でも飛ばして笑っていただろう。
しかしながら、違和感のある笑みも漏れ出る雰囲気も視線もなにもかも、そんなんじゃ入学して基礎しか学んでいない一年生にも勘づかれて落第となるにきまっている。
戦に出ればすぐ足軽程度に見つかって死ぬだろう。
それほどまでに、兵助からは懐かしくぬるやかな現世の空気にばかり触れていた自分には到底重圧にしか成らない殺気が漏れ出ていた。

「少し、話をしよう。そうだな、勘ちゃんやハチには会ったか?」

その口ぶりはまるで、過去の我が半身の現状を知っているかのようで。

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20131004

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