遊べや遊べ
ぼかんと、空中に投げ出された気分だった。
といっても、その瞬間に自分で両手をばたつかせてもがいているのだが、たった一瞬、脱力しきった。
大会が終わり引退となれど高等部へ進学を決めた自分にとってこれからの期間はある意味勝負の期間であると思う。
引退した部活に時折顔を出し、新しく部長となった顔を横目に個人的に練習を繰り返す。
もう、二度と負けたくはない。
誰からなげかけられているかもあいまいな次への期待と次への希望。
敗北が人を変えるというが、勝利への執念は人を惑わすのかもしれない。
汗がだらりと大粒になって流れるそんな気候。
何処の誰だかが、夏休みだ、と呟いた。
「せっかくだしぱーっとどっか行こうぜ!跡部!プライベートビーチとかあんだろ?」
向日の言葉に、香澄がきらりと目を輝かせる。
二人は、期待をした目でこちらを見つめてくるがはて、今の時期に自分が使ってもいいものが日本にあっただろうかと一瞬思考を巡らせた。
沖縄。となると離島になるが、この時期の離島は少々気候として恐ろしい部分が多々ある。
それは、台風だとかそういったどうとも操作できない原因であり、予測しようにもできるものではない。
「千葉か、神奈川だな」
どちらも適当な浜辺とコテージがあったと覚えがある。
大会慰安と称しての人数くらいなら問題なく寝泊りできるだろうし、夏休みに入ってのスケジュールなら問題もない。
そう聞こえる程度の小ささで呟いてみせれば、いつの間にか仲間に加わっていた慈郎がぐいぐいと鉢屋をひっぱって喜んでいる姿が目に見えた。
まあ、少しの息抜きくらい、いいだろう。
携帯で連絡をとりながら、少し上がりそうになる口端をおさえつつ
そう。思った。
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20150511
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