Just moment!!


ハロー!あなたは××××人目の来訪者。
そんな出だしから始まるそのホームページは、まるで初歩の初歩のHTMLやタグに慣れていない初心者のホームページである事がわかった。
学校から帰ってきて、そのまま何の気なしにそのページを見ていたはずなのに、私はいったいなぜ、今どうして、こんな場所にいるのだろう。

「転校生だ。みんな、仲良くするんだぞ」

高校三年生の春。運動部にも文化部にも入っていなかった私には仲のよい後輩というものはいなかった。
そもそも、あまり人付き合いは好きな方ではないしクラスメイト数人とたわいない会話ができているのだからまったくもって問題はない。
受験勉強に勤しまなければならない、そんな時期のはずだった。

そんな私の目の前にあるのは、もうすでに授業として受けて終わったはずの数学の教科書である。
知ってるぞこの問題、ひっかけなんだこれ、とそんな事まで覚えている。
隣の席をちらりと見てみればご丁寧に学年とクラスと出席番号まできっちりと書き込んだノートが目に入った。
二年、二年?転校生?私が?このブレザー何?知らない。
派手すぎない?なにこのデカい人、誰?

「?どうかした?みょうじさん」

「あ、いや、なんでもない」

唐突に話しかけられてあわてて教科書に目を向ける。
不意に目が覚めて、あ、宿題やってないなどとぼんやりした寝起きの頭が考えたと同時、ガラっと開かれたドアに体は大きく跳ね上がった。
此処はどこだ、と思うや否や、転校生だと紹介された黒板の名前は間違う事の無い自分のフルネーム。
あれよあれよと自分の席らしい席に腰を下ろせば、机の中には真新しい教科書がぎっちりと詰まっていた。
折り目のまったくついていないそれを始まった授業にそって開いてみれば、先程の私の思考へとつながる。
隣の巨人は首をかしげて授業を受けている。

どこかで、見たことがある。

こんな長身の、私側の前髪がくるんとしている。
オレンジ色の髪の毛で、あ、右頬にハート型のほくろも見えた。

「ねえ」

私は、払拭したい気持ちを押し殺して、その少年に話しかける。
ああどうか、そうでありませんようにと、胸元で根っからの仏教徒であるから信仰したことのない十字を必死に切りながら願う。
君、名前は?

「へ?ああ、葦木場だよ、こうやって書いてあしきばって読むの」

よろしく、なんて図体に似合わず教科書に書かれた名前を指さしながらかわいらしく笑う彼の反応など悠長にみている場合ではない。
神様あなたって人は

end
20170207

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