▼大盛りご飯

ここで誰よりも早く起きるのは、十四松だ。
ぶかぶかの狩衣を着て、まず外を駆け回って食べれそうなものをひたすらにかき集める。
前までは、自分の分とチョロ松の分だけで足りていたが、最近増えたチョロ松のソレのために人間の食べられるものもとらなければいけない。
別にそれを嫌なわけではなかった十四松は、遊び相手が増えたからお礼という感覚でしかなかった。
元々ただの犬である十四松にとって、やはり人間は遊び相手にしかならない。

「奈緒ちゃんの分とー!チョロ松にーさんの分と!おれの!」

どさっと玄関に広げられたのは、死んだねずみやスズメ、野草と根菜、猪が一頭。
よくやったと十四松の頭を撫でるチョロ松の隣で、奈緒は、さっさとそれを仕分けする。
猪は、主に十四松で少しだけ奈緒へ。
山菜類は、奈緒だけしか食べず、ねずみやスズメなどのちいさな動物はチョロ松がそのまま丸呑みにした。
チョロ松いわく、大きいのは食べるのが面倒だとのことだが、やはり丸呑みにする姿は直視できるものではない。

「人間ってめんどくさいね!」

自分のご飯を作る奈緒に向かって、生の猪を食べる十四松が言葉を投げかけた。
なぜ料理なんかする必要があるの?
なんでわざわざ外側をむいてしまうの?
肉は生が一番美味しい、草なんてなにが美味しいの?

「人間ってめんどくさいんだよ十四松」

生きてる時間が短いから、いろんなことに対してめんどくさくなったんだよ。
そんな事を言いながら、茹でた根菜をそのまま口に運ぶ奈緒は、少し熱かったのかフッと口をすぼめた。

「チョロ松兄さんがわざわざ小さいの食べるのも、兄さんが七歩蛇だからって言われても俺やっぱりわかんない!おっきいほうがすぐお腹いっぱいになれるのに!」

カツンと歯を鳴らし、十四松は、猪の最後の肉片を口に放り込んだ。
チョロ松はいつもいう。
俺だって、歯をたててすぐ毒が回って腐ったりしないのであればゆっくり噛んで食べたいさと

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20160607


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