▼誰の生贄

ぐっと、トド松が手を握りしめたのをみて終わったかと自然と入っていた肩の力が抜けた気がした。
ちらりと見たおそ松兄さんは、今日は珍しくでかける事なく自分の羽根を枕代わりに縁側に寝転んでいる。
ここで、あれ欲しかった?とか、攫ってくれば?とか、事を言えば自分の骨は数本イかれてしまうかもしれない。
あいつらは、きっと知らない。
アレを生贄として要求したのは、この家主であり、あの日、アレを迎えに行こうとしたのは、おそ松兄さんだ。
あの小蛇の事だから、ただ単純に生贄を受け入れる"順番"だったから迎えに行ったのかもしれないが。
アレが到底生まれているわけでもない数百年前から、あの村の、あの血筋の女から産まれる、長子の奈緒は俺がもらうと、しかしそれをあちらの者に伝えていなかったのが問題であったのだ。
少し不思議に思ったのは、あちらに持って行かれたなどその日にわかっていたはずなのに、無理に連れてこようとしなかった事ぐらいだろう。

「だいじょーぶだって、だいじょーぶ」

ぽろり、こぼすようにおそ松兄さんが手をふらふらと振ってみせる。
背を向けられており顔は見えないため表情は、伺いしれないが妙に落ち着いて見えた。

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20160625

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